2022年7月第5週目(25日~29日)の相場展望
2022-07-25
相場の全般の流れをみると、先週は米国金利低下でドル安、株高となった。今年前半の相場は株安とドル高が相まって大きな動きとなっていたため、行き過ぎからのポジション調整を含めて水準訂正をしているように思える。いわゆるリバウンドというやつだ。しかし、直近は米国の経済指標がとても悪い。中にはやや持ち直しているものが幾つかあるが、実体経済の統計である住宅や建設関連指数が軒並み予想を下回っている。また先週フィラデルフィア連銀製造業景気指数は予想の0ポイントからマイナス12ポイントまで落ち込み、新規失業保険申請件数も増加しており、米国の経済は実質的にはスタグフレーションの最中であり、景気後退局面に入ったと見てもおかしくはない。インフレが落ち着く兆候も出ているが、それに大きく影響する原油価格は一時下げてはいたがやや持ち直し100ドルを挟んで高値安定となっている。米国のバイデン大統領は先週中東に訪問し原油生産主要国との関係改善を図っていたが、最大の生産国であるサウジアラビアから原油増産の確約を得られなかったことで、メディアは否定的な評価を与えているようだ。8月3日のOPECプラスの定期会合で増産となるのかは未だ不透明なままとなった。もし現在の価格で推移すれば、米国のインフレが長引くことで景気後退が明確となってしまう。それを先読みした市場は金利低下となり、株価へテクニカルと需給要因での買戻しがはいっているが新規の買いではなさそうだ。景気後退が鮮明になれば、企業業績の先行き悪化を織り込むようなリスクオフの局面が再度出てくるに違いない。今後も原油価格の動向には注目だ。
先週の円相場は限定的な動きでどちらかというと円高気味で終始した。金曜日に欧米各国のPMIが発表され、EU全体、ドイツ、フランスのPMIは製造業とサービス業の両方で全て予想を下回った。更にほとんどが50ポイントを割れており、景気悪化懸念が強まっている。また米国のPMIは製造業こそ50ポイント以上を維持したが、サービス業が50割れで悪化し、総合でも50ポイントを下回った。その結果、景気悪化を織り込むようにドルが売られ、リスクオフの円高も相まった動きとなった。黒田総裁が日銀の金融政策を維持し、これまで通り強力な金融緩和を推進すると言明しつつ、0.25%を越えた水準もあった短期金利市場には、引き続き10年国債金利をゼロ±0.25%に誘導するYCC(イールドカーブ・コントロール=長短金利操作)を継続するとした。物価上昇率の見通しをこれまでの1.9%から2.3%に引き上げたことで、近々金利調整の上限を変化させるのではという思惑もあるが、未だ少数派にとどまっているようだ。総裁の会見からは、前回同様このままの政策がしばらく続きそうな内容であった。円高傾向とはなったが、それは市場の長短金利差が縮小したことが理由で、政策金利差は拡大傾向であるため円高の側面から鑑みると限定的な下げに留まるのではないか。今後、経済統計の悪化が進んでくると相場の動きはリスク中心の考察が考えられ、もしそうなれば円相場と株式相場の連動性が強まる可能性もあり得るだろう。
直近の金相場は、昨年夏の安値にほぼ並び一瞬の下抜けはあったが直ぐに持ち直し1700ドル台へ回帰した。直近の安値は1680ドルで、昨年は3度同レベルでの安値を底にいずれも反発している。どうも実需の買いが1680以下の水準に並んでいると想定出来、そのレベルではある程度の買い需要に支えられているのではないだろうか。日足のテクニカルからもRSIが30以下になると反発していることから、現在は売り方のショートカバーも出ていると思われる。米国長短金利は金曜日にいずれも3%を割り込んできたため、反発するには良いタイミングであったと考えられる。しかし、3%を割り込んだわりには反発が弱い。前回、長短金利が現在と同レベルの時は、1760ドル程度で推移していた。この差は、世界的な景気後退懸念の台頭が生んだものであり、これからは金利差以上に世界の景気後退局面が明確になるのかどうか、しかしインフレが進捗すると金利の引き下げは難しく、インフレが短期で終息することを願うしかない。つまり原油価格が下がれば、インフレが縮小し、景気悪化リスクが縮小する思惑が出てくると思われる。ここからしばらくは、原油価格と金価格は反比例していくものと考えている。現在の金相場は、リスク回避で買うのではなく、景気からの先行き需給からの観点から見ていくべきであろう。
テクニカルからは、日足のATR チャネルの2番目のマイナスバンドである紫線のバンドを下回ったことで下値抵抗が生まれ、平均からの乖離に行き過ぎが見られていた。そのレベルが1700ドル付近であり、下にやや突っ込んだあと値を戻している。月曜日午前現在では、1724ドル付近で推移しており、上値はまず一番目の青色バンドが抵抗してくる。そのレベルが現在1738ドル付近で徐々に下落していく。まずはそのラインを上回ることが下値不安を無くすひとつの目途となりそうだ。緑線の基軸バンドまで戻ればほぼ下値不安は大きく後退するであろうが、簡単ではないだろう。バンドの下落と共に上値が抑えられる動きが続くと、1680ドル付近の安値を下抜けする可能性が大きくなってくるので要注意だ。
先週の円相場は限定的な動きでどちらかというと円高気味で終始した。金曜日に欧米各国のPMIが発表され、EU全体、ドイツ、フランスのPMIは製造業とサービス業の両方で全て予想を下回った。更にほとんどが50ポイントを割れており、景気悪化懸念が強まっている。また米国のPMIは製造業こそ50ポイント以上を維持したが、サービス業が50割れで悪化し、総合でも50ポイントを下回った。その結果、景気悪化を織り込むようにドルが売られ、リスクオフの円高も相まった動きとなった。黒田総裁が日銀の金融政策を維持し、これまで通り強力な金融緩和を推進すると言明しつつ、0.25%を越えた水準もあった短期金利市場には、引き続き10年国債金利をゼロ±0.25%に誘導するYCC(イールドカーブ・コントロール=長短金利操作)を継続するとした。物価上昇率の見通しをこれまでの1.9%から2.3%に引き上げたことで、近々金利調整の上限を変化させるのではという思惑もあるが、未だ少数派にとどまっているようだ。総裁の会見からは、前回同様このままの政策がしばらく続きそうな内容であった。円高傾向とはなったが、それは市場の長短金利差が縮小したことが理由で、政策金利差は拡大傾向であるため円高の側面から鑑みると限定的な下げに留まるのではないか。今後、経済統計の悪化が進んでくると相場の動きはリスク中心の考察が考えられ、もしそうなれば円相場と株式相場の連動性が強まる可能性もあり得るだろう。
直近の金相場は、昨年夏の安値にほぼ並び一瞬の下抜けはあったが直ぐに持ち直し1700ドル台へ回帰した。直近の安値は1680ドルで、昨年は3度同レベルでの安値を底にいずれも反発している。どうも実需の買いが1680以下の水準に並んでいると想定出来、そのレベルではある程度の買い需要に支えられているのではないだろうか。日足のテクニカルからもRSIが30以下になると反発していることから、現在は売り方のショートカバーも出ていると思われる。米国長短金利は金曜日にいずれも3%を割り込んできたため、反発するには良いタイミングであったと考えられる。しかし、3%を割り込んだわりには反発が弱い。前回、長短金利が現在と同レベルの時は、1760ドル程度で推移していた。この差は、世界的な景気後退懸念の台頭が生んだものであり、これからは金利差以上に世界の景気後退局面が明確になるのかどうか、しかしインフレが進捗すると金利の引き下げは難しく、インフレが短期で終息することを願うしかない。つまり原油価格が下がれば、インフレが縮小し、景気悪化リスクが縮小する思惑が出てくると思われる。ここからしばらくは、原油価格と金価格は反比例していくものと考えている。現在の金相場は、リスク回避で買うのではなく、景気からの先行き需給からの観点から見ていくべきであろう。
テクニカルからは、日足のATR チャネルの2番目のマイナスバンドである紫線のバンドを下回ったことで下値抵抗が生まれ、平均からの乖離に行き過ぎが見られていた。そのレベルが1700ドル付近であり、下にやや突っ込んだあと値を戻している。月曜日午前現在では、1724ドル付近で推移しており、上値はまず一番目の青色バンドが抵抗してくる。そのレベルが現在1738ドル付近で徐々に下落していく。まずはそのラインを上回ることが下値不安を無くすひとつの目途となりそうだ。緑線の基軸バンドまで戻ればほぼ下値不安は大きく後退するであろうが、簡単ではないだろう。バンドの下落と共に上値が抑えられる動きが続くと、1680ドル付近の安値を下抜けする可能性が大きくなってくるので要注意だ。
XAUUSDの日足チャート


今週は、いよいよ注目の米国FOMCが開催され、FRB委員のコメントが出来ないブラックアウト期間で様々な思惑の中、25日月曜日時点の予想利上げは下図の通りである。2.25-2.5%の政策金利である0.75%の利上げ予想が78.7%、また2.5-2.75%の政策金利ターゲットで1%の利上げ予想となり、これが21.3%となっている。市場はほぼ0.75%の利上げは織り込み済みであり、1%であればサプライズのドル高、株安をもたらしそうだ。まだ数日あるが、それまでの経済統計発表はそれほど重要なものが見当たらないだけに、その予想が大きく変化するとは想定しづらい。FOMCでは、日本時間28日午前3時の発表が予定されている。
FED Watch(CME group)-FOMCでの金利予想
