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企業利益見通し:為替効果で欧米と日本で明暗分かれる

2022-07-22

■ アナリストによる欧米企業の利益見通しは下方修正優位の構図が一段と強まる

■ 日本では主力輸出企業に円安の追い風、相対的な優位性がある


     主要企業の利益見通しに関して、日米欧で明暗が分かれる格好となっている。金融情報会社リフィニティブの集計によれば、向こう1年予想一株あたり利益(EPS)に関して、アナリストが過去1カ月間に上方修正した比率から下方修正した比率を差し引いた「リビジョン・インデックス(RI)」とみると、S&P500のRIは6月初めから低下し始め、同中旬からマイナス圏となり、7月20日時点では約マイナス44%と、下方修正の勢いが強まっている。米大手金融機関の4-6月期決算発表では貸倒損失の計上や貸倒引当金の積み増しなど信用コストの上昇、ひいては景気悪化への備えを進めたほか、需要低迷や原燃料費や輸送費などのコスト高、インフレによる個人消費への悪影響やドル高など、様々な要因をもとに業績の先行きに対する警戒感を示す企業が増えている。昨日までにS&P500構成企業のうち60社が決算発表を行い、78%の企業のEPSが事前予想を上回ったほか、米上院が補助金と税額控除を提供する半導体産業支援法案を推進し、来週上下院で採決される可能性が高まり半導体株が押し上げられるなど、好材料が散見されるものの、株価が底打ちし本格的に反転していくとの期待を高めるには早計だろう。

      欧州でも米国同様、企業利益見通しの下方修正リスクが高まっている。ストックス欧州600指数のRIは6月中旬から低下基調にあり、7月に入ると低下ペースが速まり足元では約マイナス20%となっている。エネルギーの供給不安に伴い景気後退懸念がくすぶるなか、インフレによる個人消費低迷への不安が強く、株価の反発も鈍い。

      こうしたなか、日本企業は相対的な堅調さを示している。東証株価指数(TOPIX)のRIは足元では約マイナス2%と、ゼロ前後で推移する年初からの動きを逸脱していない。世界経済の動向に企業業績が左右されやすい傾向にあり、欧米企業と同様に利益見通しの不透明感は強いものの、円安により主力輸出企業の上方修正が進んでおり、これが奏功している模様。短期的な株価反発局面では日本株が相対優位となる局面もありそうだ。
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