News

7月国債市場見通し

2022-07-19

■ 美国:利回り上昇圧力は残るが、物価上昇と景気減速を巡る綱引きが続く追加利上げ余地が広がり、米10年国債利回りは上昇基調継続か
■ ユーロ圏:利回り上昇圧力は残るが、物価上昇と景気減速を巡る綱引きが続く

   6月の米国債相場は反落(利回りは上昇)。上旬に発表された5月の米消費者物価指数の上昇ペース加速や6月のミシガン大学消費者調査での今後5年間の期待インフレ率の上昇を受けて6月14、15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.75%利上げを決定した。大幅利上げを織り込み、米10年国債利回りは3.49%台後半まで急上昇したが、7月のFOMCでは0.50%利上げの選択肢が残されたことや、米景気減速懸念が高まったことに伴い、下旬は上昇幅を縮めた。FOMC参加者の政策金利見通しにて、今回の利上げ局面でのターミナルレート(利上げの最終到達点)が3.75%へ引き上げられ、利上げ打ち止めまでの余地が広がった。景気減速懸念が利回り上昇の抑制要因となるものの、大幅利上げが継続する間は、米10年国債利回りの上昇基調は保たれよう。

   6月の独国債相場は大幅続落(利回りは上昇)。上旬の欧州中銀(ECB)理事会を挟んで、複数のECB高官が9月にかけての利上げ実施を予告し、独10年国債利回りは大幅に上昇した。その後、ECBは臨時理事会で「市場分断化阻止」方針を表明。加えて、欧米の景況感関連指標を受けて景気減速懸念が強まり、下旬に同利回りは上げ幅を縮小した。ラガルドECB総裁は欧州議会でインフレ抑制姿勢を明確にし、「7月と9月に利上げを実施する」方針を示した。また、市場予想では、7月1日に公表される6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)上昇率は、前年比8.4%と過去最高の伸びを更新する見込み。ECBが物価上昇への警戒を示すなかでは、7月も同利回りは低下圧力が限られる一方で、上昇圧力は残るとみる。物価上昇と景気減速を巡る綱引きが続きそうだ。
TOP