2022年7月第4週目(18日~22日)の相場展望
2022-07-19
先週、最も注目だった米国の消費者物価指数(CPI)は、予想を上回る結果となった。それまで既に逆イールドであったが、短期2年物の金利は更に上昇し、10年物以上はやや低下したことで、逆イールド幅が拡大した。短期金利の上昇で融資コストが上がり、融資意欲も減退してしまう。増してや長期金利での運用の方が率の低下で投資意欲も削がれてしまう。いわゆる直面中の短期的なインフレに対処している現状が金融市場で垣間見れているということだ。発表直後はドル高傾向が鮮明となり、ドル円は137円後半で高値更新となり、ユーロドルはパリティ割れとなった。しかしその後は値ごろ感からの買い意欲が多く大きな下落とはならなく、パリティより少し上で小動きとなっている。一方、ドル円はイエレン財務長官が来日し、記者団に対して、日米など主要7カ国(G7)諸国の為替レートは市場が決定すべきであり、介入は「まれで例外的状況」でしか正当化されないと発言。G7と20カ国・地域(G20)のコミットメントには「市場で決まる為替レートと、為替動向に関する緊密なコミュニケ―ション」が含まれるとの米国の見解を改めて示したことで、円安が加速した。ドル円は木曜日には139円台に乗せ、140円を狙う勢いで堅調推移となっている。また円下落の原因はロシアのウクライナ侵攻とその世界経済への余波、あるいはマクロ経済の要因かとの質問には、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを実施する中、日本が「長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)とゼロ金利政策」を維持していると指摘。その結果、米国との金利差が「かなり大きく」なってしまったと述べた。ただ、円下落の程度は金利差で想定し得る域を超えているとして、「市場の投機」にも言及した。介入への思惑は残るものの、現状での実施期待は後退したように思える。先週中旬からは、金利差からは説明できない円安が目立ち、クロス円を含めて、ドル安ではなく円独歩安に近い動きが顕著となったように思える。
米国CPIの上昇で、市場は次のFOMCですんなり1%の利上げを織り込み、米国株価は一時大きく下げたが結局は小幅安まで戻った。翌日も軟調推移が続いたが、FRBのウォーラ―理事とブラード委員が0.75%の利上げが妥当だとし行き過ぎる思惑が台頭した市場に牽制球を投げた格好となった。米国CPIは予想以上の伸びで、年率9.1%(前月比1.3%)の伸びとなった。詳細を吟味すると、エネルギー価格の伸び、5月に上昇した原油価格分が6月に販売価格に上乗せされたために、6月のエネルギー価格物価上昇となった。しかし原油価格は6月中旬から約20%強下落しているので、7月の消費者物価はエネルギー価格分が4月と同様にマイナスとなり、全体はやや落ち着いた数値になると思われる。ただ原油価格の急激な上昇で、企業の生産コスト上昇で最終消費財へ価格転嫁が進んでいることがどの程度影響があるのかまだ不透明だ。また平均時給など賃金上昇も相まって、商品の販売価格は上がっていくことになるので、注意が必要だろう。CPIの結果を受け、7月のFOMCで政策金利を1%引き上げという思惑が台頭しておりドル高が進んでいる。CME のFED Watchでの利上げ予想派、1%幅が81.5%まで上がっている。そこまで織り込んだとすると、米国株は下げが限定されたため次回FOMCで0.75%の利上げとなれば買戻し、ドルは下落となりそうだ。
米国CPIの上昇で、市場は次のFOMCですんなり1%の利上げを織り込み、米国株価は一時大きく下げたが結局は小幅安まで戻った。翌日も軟調推移が続いたが、FRBのウォーラ―理事とブラード委員が0.75%の利上げが妥当だとし行き過ぎる思惑が台頭した市場に牽制球を投げた格好となった。米国CPIは予想以上の伸びで、年率9.1%(前月比1.3%)の伸びとなった。詳細を吟味すると、エネルギー価格の伸び、5月に上昇した原油価格分が6月に販売価格に上乗せされたために、6月のエネルギー価格物価上昇となった。しかし原油価格は6月中旬から約20%強下落しているので、7月の消費者物価はエネルギー価格分が4月と同様にマイナスとなり、全体はやや落ち着いた数値になると思われる。ただ原油価格の急激な上昇で、企業の生産コスト上昇で最終消費財へ価格転嫁が進んでいることがどの程度影響があるのかまだ不透明だ。また平均時給など賃金上昇も相まって、商品の販売価格は上がっていくことになるので、注意が必要だろう。CPIの結果を受け、7月のFOMCで政策金利を1%引き上げという思惑が台頭しておりドル高が進んでいる。CME のFED Watchでの利上げ予想派、1%幅が81.5%まで上がっている。そこまで織り込んだとすると、米国株は下げが限定されたため次回FOMCで0.75%の利上げとなれば買戻し、ドルは下落となりそうだ。
米国消費者物価指数詳細表


ドル円は、先週に139.37の高値を付けたあと上値の重い展開が続いている。高値後は売り圧力が強く137.88まで下落する場面があったが直ぐに138円台に戻している。上値は重いながら下値から直ぐ切り返しを考えると、反転下落の可能性は未だ少ない。上値のターゲットは、140円水準にある。下値は安値の137.88を抜くと、25日移動平均線の136円台前半まで下落する可能性も残っている。来週のFOMCでの1%or0.75%の利上げかという思惑の中、経済指標次第で右往左往するのであろう。市場は1%利上げの思惑を持っている中で、米連邦公開市場委員会(FOMC)開催前に政策担当者が公の場での発言を控える「ブラックアウト」期間入り前の最後のコメント機会で0.75%を支持する意見が相次いでなされたため、どちらに決定されるか微妙な雰囲気となっている。
ドル円 日足チャート


今週は、日銀とECBが金融政策を発表する。日銀は相変わらず政策維持で、ECBは0.25%の利上げが予想されている。予想通りとなるのはほぼ間違いがないと思われ、その後の定例記者会見に注目だ。欧米各国でサービス業と製造業の7月PMI速報値の発表、日本で6月のCPI、米国では7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数等の発表が市場動向に影響を及ぼしそうだ。