米国:4-6月期決算プレビュー
2022-07-15
■ 利益成長は4-6月期に一時鈍化も、底堅い伸びが続くと見込まれている
■ 業績悪化要因が浮かび上がるなか、利益見通しが悪化しないか、重要な局面に
米国で主要企業の4-6月期決算発表が本格化する。S&P500構成企業のうち、今週は18社、来週は68社が決算発表を予定しており、米国株式市場は利上げ加速に伴う景気後退が意識されるなか、個別企業の決算内容や今後の事業環境に対する経営陣からの情報発信に一喜一憂する展開となりそうだ。金融情報会社リフィニティブの集計(8日時点)によれば、S&P500株価指数構成企業の一株当たり利益(EPS)は前年比5.7%増と、1994年以降の長期平均(同10.9%増)を下回り、2020年10-12月期以来の低成長になると予想されている。原油など資源価格の高騰を受けてエネルギーセクターが同239.1%増となるものの、同セクターを除くと同3.0%減と大きく下振れし、金融(同20.8%減)やコミュニケーションサービス(同14.4%減)、公益(同12.2%減)など、主要11セクターのうち5セクターが前年比減益となる見込みである。市場では、エネルギーセクターが年内いっぱい全体をけん引し、その他のセクターの業績が緩やかに回復することで、S&P500指数全体では2022年が9.4%増、2023年が9.1%増と底堅い伸びが維持されることが想定されている。
原燃料価格の高騰や賃金の上昇など、コスト高が企業業績を圧迫するとの懸念がくすぶるなか、大企業を中心とした販売価格引き上げの動きが奏功し、売上高は同10.6%増と2桁の伸びを維持し、長期平均(同6.0%増)を上回ると予想される。ブルームバーグによれば、S&P500構成企業の向こう1年の予想営業利益率は13.5%と2020年5月(10.3%)から大きく改善して過去最高水準にあるものの、2021年8月以降は概ね横ばい圏で推移しており、さらなる改善は見込み難い。ドル高も追加の懸念材料として浮かび上がるなか、過去最高水準の利益率を確保し続けて業績拡大基調を維持できるか、重要な局面を迎えている。