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FOMC議事要旨:引き締め継続方針だがペースは明言せず

2022-07-08

■ FOMC議事要旨では、7月以降の引き締めペースに関する新たな手掛かりは示されなかった

■ 当面の政策判断では物価関連指標などへの注目度が高まり、金融市場の変動が大きくなろう


   昨日、6月14、15日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表された。本会合では0.75%の利上げを決定し、FOMC開催直前に発表された5月の米消費者物価指数、6月の米ミシガン大学調査の今後5年間の期待インフレ率(速報値)の上振れを受けて、5月時点で明言していた0.50%から利上げ幅は拡大された。同時に発表された「経済見通し概要(SEP)」では、FOMC参加者の政策金利見通しが3月時点から大幅に引き上げられた。これらの決定に至った背景や協議内容が焦点であった。議事要旨では以下のような参加者の認識が明らかとなった。

 (1)労働需給が逼迫していること、物価上昇率が2%のインフレ目標を大幅に上回っていること、短期的なインフレ見通しが5月のFOMC以降急上昇していることを理由に、大半の(almost all)参加者が今回の会合での0.75%の利上げに賛成した点
 (2)今後の政策に関する議論では、参加者は、インフレ目標を達成するために継続的に政策金利を引き上げていくことが適切であると認識しており、次回会合では0.50%か0.75%の利上げが望ましいと判断した点。なお、高いインフレ圧力が持続する場合は、より引き締め的な政策スタンスが適切であるとされた
(3)今年後半には政策金利が参加者の長期(longer run)見通し近辺かそれを上回ることを見通し、利上げペースや将来的な政策の引き締め度合いは今後のデータや経済見通しに基づいて判断する予定である点

   以上は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長によるFOMC後の会見や6月29日の欧州中銀(ECB)フォーラムでの発言内容に概ね準ずるが、7月以降の引き締めペースに関する新たな手掛かりは示されなかった。今回の議事要旨に記されたように今後も継続的に政策金利が引き上げられる可能性が高いものの、明確なフォワードガイダンスが提示されず、本会合の直前で政策判断が見直されたことを踏まえると、当面の政策判断については、物価関連指標を中心とするデータへの注目度が高まると考えられる。金融市場では、政策パスに関するコンセンサスの修正頻度が増え、短中期金利を中心に金利変動が大きくなりそうだ。

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