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2022年7月第2週目(4日~8日)の相場展望

2022-07-04

米国の株価がやや持ち直しつつあるが未だリスクオンまでとはいかず、米国金利上昇とインフレ加速によるスタグフレーションへの懸念が未だ高いままで推移している。米国ではインフレ加速で景気減速することをFRB高官が指摘しているため、あくまでも思惑の中で利上げ幅などの緩和を見込んでショートカバーが入っているようだ。しかしFRB高官達は以前からのコメント内容から変わっていないことで、市場が理由づけとして先走っていることがわかる。つまり需給面での買戻しだけである。今後も株式相場の下押し圧力は変わらず、ややリスクオフ相場から脱するには時間が掛かりそうだ。またインフレ率がピークを打ったとする指標も細かくは出ているが、あくまで短期間の結果であり、それを感じる程度であるため予断は許さないままである。

対してECBは市場対話が上手くいかない状況が続いており、いつものことながら、ECBのラガルド総裁は市場との対話が以前のドラギ氏より少なく、また方向性も定まらない優柔不断なところが市場関係者にとってはやきもきさせられる。これはEU諸国が統一感を持って同じ方向性を共有することが難しいという元来の問題が起点となっている。米国や英国と違って、経済での問題が拡大するとECBは、諸国の委員が自国の立場を尊重する傾向があるため、意見のまとまりに時間が掛かる。総裁は調整役となって各委員の立場を尊重しながら、考え方を統一させる必要があり調整が難しい。それで金融政策のとりまとめにも時間を要するため、経済環境悪化に遅れが出てしまう。この懸念があるために、現状ではインフレ対応への遅れとなりユーロを積極的に買う向きは少ない。インフレ懸念が拡大したロシアのウクライナ侵攻以降、ユーロは対ドル、対ポンド、対豪ドルでことごとく売られている。金融政策が各国に追いつくまでは、ユーロ買いとはなりづらい状況は継続するに違いない。

ユーロドルは米国の長期金利がやや低下しているにも関わらず低迷中で下値模索の動きは継続中。先週はレンジを下抜けし1.0363まで下落し、5月の安値まであとわずかまで迫った。週明けの本日も1.04台の前半で推移しており、下値更新を伺う展開となりそうだ。5月安値は1.0347であり、そこを下抜けるといよいよパリティ価格までの下落が想定されよう。一時間の一目均衡表で雲の下限が上値抵抗となっており、雲が下がるに連動して下落しやすい状況だ。但し、雲の捩じれがあるため1.04台後半まで上昇すればやや落ち着くだろうが重いのではないかと考える。米国金利がやや軟化していることで、ドル円は素直に反応し下落したにもかかわらずユーロドルの上昇が限定的なのは、売り需要が多いということ。ECBが後手後手に回っている間は、売りがやや強いと思われる。

ユーロドル一時間足チャート


円相場では、リスクからの動きと米国金利との連動相場の2面性相場が見られており、主に日本市場と米国市場のそれぞれの時間帯で別の連動性が見られている。米国市場では、金利上昇圧力とそれに反応する株価の下落に対してはドル高でドル円が上昇。一方、日本市場では株価と円相場全般がリスクとの連動で動いている。裏に大きな売買需要が見られないのが背景にはありそうで、短期筋の売買が中心と言える。中長期的な投資が入ると、連動性が似通ってくるのが通常である。短期での売買に対しては、それぞれの市場連動性を鑑みて取引する必要がある。ドル円は、日足の一目均衡表の雲との乖離が大きくなったこともあり、高値137円があったもののすぐさま下落している。日銀や財務省の幹部等は、急激な円安への警笛を鳴らしていることで、上げ下げを繰り返しながらの緩やかな上昇は暗に認めていると市場は捉えている。25日移動平均線の上昇傾きが急角度にならないようじりじりと上昇している傾向には変化がなさそう。下げて133円台までの可能性はあるが買い需要がありそうで、134円台での抵抗が強まると思われる。今年3月からの上昇局面においては、3日連続で陰線となったのは一度しかなく、ただその時もすぐ反発し、結局は利食いで終わってしまった。今日月曜日が陰線となれ3日目となり、もし4日目も陰線を引いてしまうと調整が長引く可能性は出てくるだろう。25日移動平均線が直近の下値抵抗、また134.00も抵抗があると見ている。上値は137.00の高値と25日移動平均線からの乖離が5円以上は買いの警戒をすべきで売り物が多く出るパターンとなっている。今週中はまだ138円に近づくと売りが増えると予想している。

ドル円日足チャート


今週はイベントが少ない中、米国の雇用統計の発表を金曜日に控えている。FOMCとECB金融政策の議事録の発表もある。その他は米国のISM非製造業の景況指数やドイツの製造業受注や鉱工業生産あたりが主な経済指標発表であろう。ユーロドルの下値トライとドル円の高値トライが双方注目の動きであり、米国10年債利回りが3%に接近していることで、このレベルからの再度上昇が見込めればドル高へと回帰していく。また日本では週末にSQを控え、株式相場の荒い動きが演出される可能性もありそうだ。
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