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日銀短観:円安、原燃料高でも業況に陰りみられず

2022-07-04

■ 大企業・製造業の業況判断DIは、製造業が2四半期連続で低下した一方、非製造業は上昇

■ 2022年度の設備投資計画は大幅に引き上げられ、6月調査として過去20年で最大の増加幅に


      今朝公表の日銀短観(2022年6月調査)では、業況判断DI(現況)は、大企業・製造業(9、前回比5ポイント低下)が2四半期連続で低下した一方、大企業・非製造業(13、同4ポイント上昇)は2四半期ぶりに上昇した。製造業は部材不足や原燃料価格高騰を受けて業況が悪化した一方、非製造業では、まん延防止等重点措置が全面解除された3月以降の経済活動再開による需要増の効果が上回り、業況は改善した。先行きは、大企業・製造業(10、現況比1ポイント上昇)が小幅上昇、大企業・非製造業(13、同変わらず)も現況の水準が保たれており、円安、原燃料価格高騰の影響が強まるなかでも、業況に陰りはみられなかった。

      大企業・全産業の2022年度設備投資計画(前年度比18.6%増)は、3月調査時点(同2.2%増)から大幅に引き上げられた。例年、年度計画が定まる6月調査では3月調査から大幅に上昇する傾向があるが、6月調査のなかでも過去20年で最大の増加幅となった。コロナ禍での工事遅延や案件繰り延べにより2021年度の設備投資(同2.3%減)が計画を下回ったため、経済正常化ともに繰延需要が表れ、積極的な投資が計画されていることがうかがえる。

      事業計画の前提となる2022年度のドル円の想定為替レート(全規模・全産業)は118円96銭で現在より17円程度の円高水準となっている。輸出関連産業を中心に製造業の事業環境の追い風となることが期待され、売上高・収益計画をみると、2022年度の売上高は大企業・製造業・輸出(前年度比7.0%増、前回調査比6.7%ポイント上昇)の改善が目立っている。半面、大企業・製造業の仕入価格判断DI(上昇-下落、65、同7ポイント上昇)、販売価格判断DI(上昇-下落、34、同10ポイント上昇)は大幅上昇し、円安、原燃料価格高騰が収益圧迫要因となることが見込まれる。また、中国・上海市での都市封鎖の影響もあり、製商品・サービス需給判断DI(需要超過-供給超過、(国内:2、同1ポイント上昇、海外:9、同1ポイント上昇)、製商品流通在庫水準判断DI(過大-不足、マイナス4、同2ポイント低下)などからは供給制約が若干強まっていることがうかがえ、企業の調達価格上昇の転嫁は今後も続くことが想定される。
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