2022年後半の為替相場
2022-07-01
■ 2022年前半はドル円が独歩高の展開。利上げを先行したNZドルとポンドは低調
■ 2022年後半は金融政策に加え政局にも焦点が当たり、ドル円は調整局面を迎えよう
2022年前半の為替相場は、主要国中銀の金融引き締めによる当該国通貨高と日銀の現行緩和策の堅持を受けた円安が進行した。主要国通貨の対円での年初来騰落率(6月29日時点)はドル(21.5%)に次いで、スイスフラン(16.9%)、加ドル(14.8%)、ユーロ(11.7%)、豪ドル(10.2%)が後に続く。ニュージーランド(NZ)中銀(RBNZ)は2021年10月、英中銀(BOE)は同12月に政策金利の引き上げを開始したが、NZドルは6.3%、ポンドは9.8%の上昇にとどまる。RBNZは年末までの4会合で50bpsずつの追加利上げを決定し、政策金利を現行の2.0%から4.0%、BOEは同1.25%から少なくとも2.75%、まで引き上げると市場は見込む。金利先高観は薄れていないが、NZは1-3月期の実質GDPが前期比0.2%減のマイナス成長。英国は4月の実質GDPが前月比0.3%減と2カ月連続でマイナス成長に落ち込んだ。両国のファンダメンタルズが通貨高を阻む形となっている。
世界的な景気後退懸念が強まるなかで、ドルインデックスは2002年12月以来の105台まで上伸。市場参加者の安全資産を求める動きが強まり、ドル高の様相を呈している。一方、主要通貨に対する円安基調は継続しており、ドル高・円安の流れは変わりにくい。ただ、年後半は各国の政局にも焦点が当たる。国内では7月10日の参院選後、日銀が円安に対応するため政策調整を行うとみる向きもある。米国では11月8日に中間選挙を控えるが、インフレの長期化を受けてバイデン大統領と民主党の支持率は低迷し、経済政策の先行きに不透明感が漂う。加えて、トランプ前大統領が2024年の共和党大統領候補として再び頭角を現すとの見方もある。ドル円は137円台へ上昇し24年ぶりの高値を付けているが、調整局面を迎え得る時間軸と判断される。