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米国:1-3月期の株主還元策は過去最高に

2022-06-24

■ 米企業の配当と自社株買いはいずれも過去最高に

■ 自社株買いが4-6月期も高水準を維持し、EPSを下支えできるか注目される


   米S&Pグローバルの集計によれば、S&P500構成企業の1-3月期の株主還元策(配当、自社株買い)は過去最高を更新した。配当金額は1376億ドルと前期比2.8%増加し、前年比では11.1%増となった。配当金額は新型コロナ禍でも相対的に落ち込みが小さかったが、着実な増加基調に回帰し、3四半期連続で過去最高を更新した。また、自社株買いは2810億ドルと前期比4.0%増加、新型コロナ禍の落ち込みから回復途上にあった前年比では57.8%増と大幅に増加し、こちらも3四半期連続で過去最高を更新した。セクター別では、情報技術(IT、716億ドル、前期比4.4%減)が高水準を維持して全体の約25%を占め、金融(547億ドル、前期比6.2%増)が約20%で後を追う。ヘルスケア(411億ドル、同88.3%増)が自社株買いを積極化した一方、SNS大手などが含まれるコミュニケーション・サービス(341億ドル、同21.3%減)や小売大手が含まれる生活必需品(84億ドル、同34.3%減)など、経営環境の違いが自社株買いの増減にも影響している。

   経営者は自社株買いを行うことにより、発行済株式数を減らし1株当たり利益(EPS、純利益/発行済株式数)を増加させて、株価を上昇させることを狙う。4-6月期も前期同様高水準の自社株買いが行われるようであれば、この間の株価下落により消却される株式数は多くなり、EPSの増加圧力が強まりやすくなることが期待される。金融情報会社リフィニティブの集計(6月17日時点)によれば、S&P500株価指数構成企業の4-6月期EPSは前年比5.6%増と前期(同11.3%増)から伸びが鈍化するほか、エネルギーセクターを除くと同2.2%減少するなど、冴えない結果になることが市場では予想されているが、自社株買いが一定の下支えとなるか注目される。
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