News

日本経済動向

2022-06-23

■ 貿易赤字が急増しているが、企業の業況は改善傾向
■ 株は自律反発の範囲にとどまる見込み

   4月の機械受注統計では、設備投資の先行指標である船舶・電力除く民需(前月比10.8%増)が2カ月連続で増加した。製造業、非製造業ともに大幅に増加し、基調判断は「持ち直しの動きが見られる」へ上方修正された。3月にまん延防止等重点措置が全面解除され、繰り延べられていた設備投資需要が表れている。
   5月の貿易統計では、貿易収支(季節調整値、1兆9314億円赤字)は、単月では2014年3月以来、過去2番目の大きさの赤字を計上した。輸出(前月比2.4%増)、輸入(同5.8%増)ともに増加したが、エネルギーなどの価格高騰、輸入数量増加により貿易赤字拡大が続いている。
   6月のロイター短観の主要400社業況判断DIは、製造業(現況:プラス9、先行き:プラス12)では、現況が2カ月ぶりに上昇し、先行きも現況から上昇した。非製造業(現況:プラス13、先行き:プラス15)は、現況が5月時点と変わらず、先行きは現況から上昇した。製造業では、現況では素材業種のDIが高いものの、加工業種は先行きにかけてDIの上昇が目立っており、円安の恩恵による業況改善が見込まれている。
   世界的な金融政策の先行き不透明感を巡る株安圧力は一巡したとみられ、割安感から買い戻しが入る可能性はある。しかし、世界的な金融引き締めに伴う景気減速懸念がくすぶるなか、自律反発の範囲にとどまるとみられ、株価は上値を追いづらい展開が続くことが想定される。
TOP