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FOMC:9月以降の利上げペースは鈍化へ

2022-06-17

■ FOMCは5月会合の方針を見直し、物価高騰を受けて75bpsの利上げを決定

■ 景気減速は避けられず、物価抑制で2024年まで潜在成長率程度の成長にとどまる見通し


米連邦準備理事会(FRB)は14、15日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を1.50-1.75%へ引き上げた。5月のFOMCでは6、7月会合で連続50bpsの利上げ継続方針を示していたが、5月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比8.6%と約40年ぶりの高水準を付けるなか、今会合での決定は1994年11月以来となる75bpsの利上げ幅へ見直された。保有資産縮小(QT)については、5月公表の「バランスシート規模縮小計画」に基づき、9月以降は月額950億ドルへ縮小ペースが加速する。声明では「2.0%のインフレ目標に強くコミットし、労働市場やインフレ圧力・期待、金融市場や世界情勢など幅広く考慮する」とした。

FOMC参加者の経済見通し(SEP)では、2022年の政策金利見通し(中央値)が3.375%(3月時点:1.875%)、2023年は3.750%(同2.750%)、2024年は3.375%(同2.750%)へ上方修正された。パウエルFRB議長は、7月会合の利上げ幅は50bpsか75bpsとなる可能性が高いが、75bpsが恒久的ではない予想だとも述べた。2022年末までの4会合(7、9、11、12月)で計1.75%(3.375-1.625%*1)の利上げをFOMC参加者が予測していることに鑑みても、9月以降は経済・金融市場の状況に応じて、利上げ幅に縮小余地を残す内容となった。実質GDP成長率については2022、2023年ともに1.7%、2024年は1.9%へ下方修正(長期は1.8%のまま)、失業率はそれぞれ3.7%、3.9%、4.1%へ上方修正された(長期は4.0%のまま)。景気減速は避けられないが、足元の物価高を抑えることで、2024年まで潜在成長率程度の成長にとどまる見通しが示された。

*1 1.625%は現在の政策金利「1.50-1.75%」の中央値

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