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ECB理事会レビュー

2022-06-13

■ ECBは7月に利上げ開始、9月の利上げは大幅である可能性を示唆した

■ 2024年のインフレ見通しが物価目標に収束するまで、会合毎に漸進的な利上げ継続へ


欧州中銀(ECB)は9日の理事会で主要政策金利の据え置きを決定した。7月の理事会では25bps引き上げ、中期インフレ見通しの更新次第で9月会合は大幅な利上げが適切になるとの意向を示した。資産購入プログラム(APP)は7月1日に終了し、償還分再投資を利上げ開始の相当後まで実施。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)については、償還分再投資を少なくとも2024年末まで継続する方針だ。

ECBスタッフによる最新経済予測では、インフレ圧力の拡大と強まりを受けて、インフレ見通しを2022年は6.8%(3月時点:5.1%)、2023年は3.5%(同2.1%)、2024年は2.1%(同1.9%)に引き上げた。一方、GDP成長率見通しについて、ロシアによるウクライナ侵攻が成長を下押し、2022年を2.8%(同3.7%)、2023年を2.1%(同2.8%)へ下方修正したが、現在の逆風が弱まれば経済活動が持ち直すとして、2024年を2.1%(同1.6%)に上方修正した。

声明では、「緩やかで持続的な追加利上げの経路が適切」だと指摘したものの、5月の消費者物価指数(HICP)上昇率は前年比8.1%(速報値)へ加速し、過去最高水準を付けた。早期利上げは喫緊の課題で、ラガルドECB総裁も利上げ幅を拡大する可能性を否定していない。2024年のインフレ見通しが物価目標(2.0%)に収束するまで、ECBは会合毎に漸進的な利上げを継続していくだろう。市場は、現在マイナス0.5%の預金ファシリティ金利が年末には0.9%超へ引き上げられると織り込み始めた。
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