債券市場の見通し
2022-06-09
■ 米国債 ≫ FOMCを翌週に控えて方向感の乏しい展開か
■ ユーロ圏国債 ≫ ECB理事会を経て、一時的に市場変動が高まる可能性も
10年国債は反落(利回りは上昇)。週初はメモリアルデーで休場だったが、この間に原油高進行やユーロ圏のインフレ加速が確認され、米10年国債利回りは先週末より水準を切り上げて取引を再開した。5月のISM製造業景況感指数の上昇など、米景気の底堅さが示され、週央以降も利回り上昇基調が続いた。
翌週の米連邦公開市場委員会(FOMC)開催を控えて米連邦準備理事会(FRB)高官の発言自粛期間が続き、今週は方向感の乏しい展開が予想される。米3、10、30年国債入札が続く週央までは小動きとなりそうだが、週後半に発表される米消費者物価指数で前年比での上昇ペース鈍化が示されれば、利回り低下余地が生じそうだ。
ドイツ(独)10年国債は続落(利回りは上昇)。5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)上昇率は、前年比ベースで過去最高を更新した。加えて、複数の欧州中銀(ECB)高官の発言から、ECBの利上げペース加速の思惑が強まり、独10年国債利回りは週を通じて上昇基調を維持し、8年ぶりの高水準をつけた。
9日開催のECB理事会に向けて、いったん同利回りは上昇が抑えられると予想する。7月の利上げ開始は市場ですでに織り込み済のため、追加で利回り上昇圧力がかかるには、年末時点の政策金利が1.0%まで引き上げられると示唆される必要があろう。ただ、今回の理事会ではそこまでは踏み込まないとみており、週後半は一時的に同利回りが高下する可能性も。