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豪景気回復は続き、RBAは引き締め姿勢を維持へ

2022-06-02

■ 1-3月期の実質GDPは減速したが、内需中心の景気回復は続く見通し

■ 成長ペースは鈍化したものの内需中心に底堅く、RBAは引き締め姿勢を維持へ

6月1日、豪統計局は1-3月期の実質GDP成長率を公表した。前期比0.8%増と2四半期連続でプラス成長を維持したが、前期(同3.6%増)から減速。新型コロナウイルスオミクロン株の感染拡大は2月に収束したが物価上昇圧力を受けて、民間最終消費支出は同1.5%増と前期(同6.4%増)から伸びが鈍化。一方、企業の営業利益が急増するなどして、設備投資は同1.5%増と前期(同0.5%増)から増勢を維持した。ただ、財貨・サービスの輸入急増に対し輸出減少が響き、成長を下押しした。

豪政府は2月下旬に約2年ぶりの国境再開を発表、4月下旬にはさらに入国制限を緩和した。中国の景気減速は懸念されるが、経済活動再開が見込まれており、豪州経済にとっては外需の持ち直しが期待される。また、インフレによって実質所得は目減り、貯蓄率は13.4%から11.4%へ低下したものの、新型コロナ禍前の水準を上回っており、家計の購買意欲は続くとみられる。2023年6月までの1年間の設備投資計画は上方修正されており、政府による中小企業向けの支援策も設備投資の増加に寄与しよう。内需は底堅く、今後もプラス成長は続くと市場は見込む。

豪中銀(RBA)は7日の理事会で政策金利を0.35%から0.60%に引き上げると当行は予想。賃金の伸びは物価上昇の勢いに追い付いていないため、利上げ幅は25bpsにとどまろう。ただ、新年度入りする7月には政府保障の最低賃金が引き上げられる公算。4-6月期以降のインフレ指標を踏まえてRBAがこの先利上げペースを加速するかどうか、理事会後の声明も注目される。引き締め姿勢が漸進的であれば、豪景気にブレーキがかかるとの懸念は強まりにくく、豪ドル相場も緩やかに上昇基調を継続するとみている。
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