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米国・欧州経済

2022-05-31

米国経済 ≫ 個人消費は堅調だが、住宅販売の不振が明確に
欧州経済 ≫ 企業の業況は底堅さを保っているが、先行きには懸念

4月の個人消費支出(PCE、前月比0.9%増)は4カ月連続で増加した。高い伸びが保たれ、実質ベース(同0.7%増)では2カ月連続で増勢が加速した。高インフレが続くなかでも個人消費は堅調に推移している。また、コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く総合、前年比4.9%上昇)は2カ月連続で上昇ペースが鈍化し、前年比ベースでのインフレのピークアウトが確認された。

4月の中古住宅販売成約指数(前月比3.9%低下)は6カ月連続で低下し、2020年4月以来の低水準となった。地域別では北東部(74.8、同16.2%低下)の大幅低下が目立っている。中古住宅販売は5月以降も減少傾向が続くことを示唆している。住宅ローン金利上昇、実質所得減少により、需要低迷が明確になりつつある。

4月のシカゴ連銀全米活動指数(0.47、前月比0.11ポイント上昇)は2カ月ぶりに上昇し、基調を示す3カ月移動平均値(0.48、同0.01ポイント低下)も前月同等の水準を保ち、米経済はトレンドを上回る成長を維持していることが示された。内訳では、雇用・労働市場が2カ月連続で低下したものの、生産・所得、消費・住宅、受注・在庫は上昇し、復調を示唆している。

5月のユーロ圏PMI速報値は、製造業(54.4、前月比1.1ポイント低下)、サービス業(56.3、同1.4ポイント低下)ともに低下した。製造業は4カ月連続、サービス業は4カ月ぶりの低下となった。昨冬の経済活動制限解除後の繰延需要に支えられ、サービス業の業況は引き続き好調だが、製品価格、購買価格の上昇圧力がやや緩和したことが低下に寄与した。また、事業活動の見通しは3月以降、明確に水準が切り下がっており、ウクライナ情勢急変を受けて、先行きへの懸念は引き続き強いことがうかがえる。

5月のドイツIfo企業景況感指数(93.0、前月比1.1ポイント上昇)は2カ月連続で上昇した。現況指数が7カ月ぶりの高水準となり、現時点ではロシアへの経済制裁などが企業活動に及ぼす影響は確認されていない。ただし、期待指数は前月とほぼ同等の水準にとどまっており、企業の先行きに対する不透明感は根強いこともうかがえる。
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