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2022年6月第1週目(30日~3日)の相場展望

2022-05-30

先週も前週に続き米国の経済指標の結果は悪化の傾向を見せた。5月直近のPMI担当者景気指数では、製造業PMIは予想通りであったが、サービス業PMIは予想を下回った。また総合の購買担当者PMIでも結果は予想を大きく下回っている。4月新築住宅販売件数は予想のマイナス1.7%から結果マイナス16.6%と予想外の失速となり、前週の4月中古住宅販売と4月建設許可件数に続いての大きな減少幅となった。住宅価格の高騰に加えて、長期金利の上昇で購入をためらう消費者が増えているようで、先行き消費の低迷が予想される。これらの経済指標を受けた市場はドル売りを継続し、ドル指数は約1%低下した。逆にユーロや円は買われる展開となった。一時は3%を越えた水準まで達した米国10年債利回りは、高値もみあいながら若干低下傾向となり2.7%付近まで下落している。

経済指標の悪化に加えてインフレのピークを予想する向きが増えており、FRBが先行きの利上げ幅縮小やバランスシート縮小度合を緩和するのではないかという予想も出てきていることで、株価には追い風が吹いた。今年に入ってから、怒涛の下げを見せている米国株の中でリード役となっているのがNASDAQ指数だ。年初の高値から安値まで約30%も下落し、11490ドル付近の安値を付けた同指数は、金利低下からのショートカバーが中心で先週だけで約1300ドル(約11%)も駆け上がった。今年第一四半期決算発表の通過というタイミングも反発に一役買ったと思われる。5,25,75日移動平均線からの乖離率が、今月に入ってからはマイナス5%を上回ることがなく推移しており、乖離率も最大で33%も下回っていたため行き過ぎの指標として見ていた。2020年のコロナショック以来の乖離率であったがなかなか戻らず低迷していたが、先週の反発で先週末現在では乖離率マイナス2%まで縮小し適度な水準まで上がってきている。利食いのショートカバー中心の買いで上がっており、短期上昇での流れから乖離率がプラスになるまで上昇が継続されると思われる。しかしながら、今後も上昇を継続するには新たな材料が必要であろう。経済指標の悪化は決して株価への好材料とはならず、金利上昇懸念の払しょくだけの買戻しであるため再度下落へ油断はできない状況だ。テクニカルからは、直近3月の高値15266ドルから直近安値の11490ドルの38.2%戻しのレベルと3月の安値がほぼ同レベルの12944ドル付近であるため、このレベルが強い抵抗となりそうだ。このレベルを上に抜くことが出来れば、13400ドルの半値戻しレベルまでの上昇が期待できそうだ。しかし12944ドルで反落すると、再度下値トライの可能性が大きくなるだろう。短期の戻しが終了した後は、しばらくレンジ内でももみ合いから方向性を探る展開を想定する。下値は25日移動平均線(オレンジ線)のレベルがサポートとなりそうだ。

NASDAQ指数日足チャート


今週は、各国の経済指標が多いためその結果次第で相場は上下に振らされることになろう。欧州ではドイツ、フランス、 ユーロ圏での5月消費者物価指数の発表があり、ECBによる利上げペースに影響を及ぼす可能性もある。米国では5月のシカゴ購買部協会景気指数や消費者信頼感指数の発表があり、インフレからの景況感指数の悪化度合いの強まりが鮮明となるのだろうか。また失業率の発表が予定されている。次のFOMCは約2週間後の14日、15日であり、0.5%利上げはほぼ想定されているため、イベントまで全般の相場への変動率は徐々に低下していくと予想している。
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