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FOMC議事要旨:9月以降の利上げペースは鈍化か

2022-05-27

■ 6、7月の会合も50bpsの利上げを決定する公算は大きいが、9月以降の利上げペースは鈍化か

■ FRBは6月に保有資産縮小を開始、ドル高の圧力が高まるかドル高・円安の回帰点に注目したい


   25日、米連邦準備理事会(FRB)は5月3、4日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表した。同会合では22年ぶりに50bpsの利上げが全会一致で決定され、FF金利の誘導目標は0.75-1.00%に引き上げられた。参加者全員は、米国経済は非常に強く労働市場は極めてタイトだという認識で一致した。供給制約やロシアによるウクライナ侵攻、中国での新型コロナウイルス感染拡大に伴う都市封鎖が続くなかインフレは主要な脅威で、対応しなければ一段の上昇リスクが生じると説明。多くの参加者は、今利上げをすれば年内に政策効果を検証することが出来ると判断した。複数の参加者は、インフレはもはや悪化していないかもしれないと考える経済指標が出始めたと指摘した。ただ、インフレがピークに達したと確信するには時期尚早だとして、大半の参加者が6、7月の会合でも50bpsの追加利上げが適切であると考えていることが確認された。

   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会合後の記者会見で、75bpsの利上げは積極的には検討しないと表明しており、政策の道筋を示した。20日、セントルイス連銀のブラード総裁は政策金利を年末までに3.5%にすべきとの考えを堅持したが、インフレとインフレ期待を前倒しで抑えられれば2023年ないし2024年には利下げに動くこともあり得ると指摘。23日には、アトランタ連銀のボスティック総裁が、インフレと経済への影響を精査するため、9月のFOMCではいったん利上げを停止することは理に適うと述べた。インフレ制御に積極的とみられる両連銀総裁の発言は興味深い。議事要旨の内容は市場の織り込みと概ね一致し、ドル円は3営業日ぶりに上昇したが、9週連騰後の下げ基調は続いており、9日高値131円34銭を基点とする調整が終わったと判断するには早計と考える。FRBが6月に保有資産を縮小し始めて、再びドル高の圧力が高まる可能性はあるが、テクニカルには日足一目均衡表の基準線128円85銭は24日安値126円35銭までの約5円の下げ幅に対する半値戻しに一致しており、同水準がドル高・円安への回帰点となるか注目したい。

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