NZ中銀:積極的な金融引き締め姿勢を明確にした
2022-05-26
■ RBNZは5会合連続の利上げを決定したが、来年央まで一段と利上げを進める姿勢を示した
■ RBNZは今後、NZ政府と歩調を合わせて「インフレ抑制」「景気支援」の対策を進める見込み
本稿では、5月25日に開催されたニュージーランド準備銀行(以下、RBNZ)の金融政策決定会合の結果を整理する。5会合連続の利上げが決定され、政策金利(OCR、オフィシャル・キャッシュレート)は2.00%となった。また、2会合連続の50bpsの利上げ幅は、OCRが導入された1999年3月以降で初めてである。今回の注目点は、RBNZが金融引き締めに積極的な姿勢を一段と明確にしたことだ。政策金利見通しでは、今年2月時点で「2024年7-9月期に3.4%まで引き上げる」としていた。対して、今回は「2023年4-6月期に3.9%まで引き上げる」と見通しを大幅に修正し、利上げペースの加速と最終的な利上げ到達点(ターミナルレート)の引き上げを示した。RBNZは、インフレ抑制に向けて引き締め姿勢を強めたと解釈している。
4月21日に公表された1-3月期の消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年比6.9%と約30年ぶり高水準にある。加えて、5月4日公表の1-3月期の労働コスト指数上昇率は同3.1%と、2008年10-12月期以来の高水準へ伸びが加速した。RBNZは今回、CPI上昇率のピークは今年4-6月(同7.0%)と見通しを引き上げたものの、物価上昇圧力に対する警戒感は強まる一方と言えよう。なお、国際通貨基金(IMF)は、5月14日公表のNZ経済に関する年次報告書で、2023年にかけてCPI上昇率は中銀目標(前年比1-3%)を上回る水準が続く見通しを示した。
今回の政策会合から、RBNZは欧米などと同じく物価上昇圧力の高まりとそれに伴う景気減速への警戒をにらみ、難しい舵取りを迫られる姿が予想される。RBNZは今後、ニュージーランド(以下、NZ)政府と歩調を合わせて対策を講じる見込みだ。利上げを進めるRBNZに対して、NZ政府は景気支援策を重点的にカバーする。5月19日にNZ政府は2022/23年度(2023年6月末まで)の予算案を公表したが、インフレ対策として10億NZドル(約6.3億米ドル)超を支出すると表明した。主に家計への支援を拡充しており、ガソリン代や公共交通機関利用への補助金延長や、中所得者向け支援の対象拡大が打ち出された。また、学校新設などのインフラ構築や国防、医療分野などへの新たな設備投資は今後5年間で59億NZドルと、従来の見込みから約4割増額されている。