News

豪賃金インフレが加速すれば、利上げペースは漸進的へ

2022-05-23

■ 1-3月期の賃金指数は前年比2.4%上昇、豪連邦最低賃金の引き上げでさらに上昇へ

■ 雇用改善と物価上昇が続くなか、利上げペースが加速し政策金利は年末に2.50%に近づこう


   18日、豪統計局が公表した1-3月期の賃金指数は前年比2.4%上昇と、2020年10-12月期(同1.4%上昇)を底に5四半期連続で伸びが加速した。現在、豪連邦最低賃金は週38時間勤務で772.60豪ドル(または時給20.33豪ドル)だが、労働組合の中央組織である豪労働組合評議会(ACTU)は2023年度(2023年6月までの1年間)の最低賃金を前年度比5.5%増と昨年度(同2.5%増)以上に引き上げるよう要求している。豪公正労働委員会(FWC)は新年度が始まる7月までには最低賃金を決定する見込み。4月下旬、連邦政府は年金受給者や生活保護受給者など600万人を対象に250豪ドルの一時金を支給したほか、低中所得者向け所得税税額控除の延長で個人に420豪ドルの税還付を適用する。消費マインドは悪化傾向をたどるなか、1-3月期の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比5.1%と約20年ぶりの高水準へ加速。家計の購買意欲を高めるためには実質賃金の上昇は欠かせないが、こうした連邦政府の政策措置はインフレをさらに押し上げることになる。

   19日公表の4月の失業率は3.9%と前月から0.1ポイント低下、豪中銀(RBA)が完全雇用とみなす4.0%を下回った。就業者数は前月比4千人増へ鈍化したが、フルタイムの就業者数は同9.2万人増へ加速するなど労働市場の改善は続く。6日公表の四半期金融政策報告では、2022年12月には失業率が3.75%に改善、CPI上昇率は前年比6.0%へ加速すると豪中銀(RBA)は予測しており、6月7日の次回理事会では25bpsの追加利上げが決定される公算が大きい。RBAが景気拡大を見込むなかで、4-6月期以降に賃金の上昇ペースも加速すれば、7月以降の利上げ幅が拡大し、政策金利は2022年末に現在の0.35%から2.50%に近づこう。
TOP