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FOMC:政策予見性は高まるが物価動向が引き続き左右

2022-05-09

■ FOMCは0.50%の利上げとFRBの保有資産縮小開始を決定した

■ 当面の政策方針も明確化し今後の政策予見性が高まったが、インフレが抑制される保証はない


5月3、4日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の0.50%引き上げ、および月額475億ドル(米国債300億ドル、米住宅ローン担保証券175億ドル)ペースでの米連邦準備理事会(FRB)の保有資産縮小(Quantitative Tightening、QT)の6月着手を決定した。3カ月後の9月以降は月額950億ドル(米国債600億ドル、米住宅ローン担保証券350億ドル)へ縮小ペースが加速される。これらの政策変更は、金融市場で事前に織り込まれていた内容と一致する。主な論点に関して、今回明らかになったことは以下のように整理される。

(1)今後の政策方針について

パウエルFRB議長はFOMC後の会見にて、0.75%の利上げに否定的な見解を示し、今後2回の会合(the next couple of meetings)で0.50%の利上げを行うことが参加者に広く支持されていることを明らかにした。

(2)中立金利について

パウエルFRB議長はFOMC後の会見にて、中立金利水準について現在、FOMCは2-3%の範囲と推計していると明らかにした。推計に幅があることを認めつつも、中立金利として妥当と考えられるレンジまで迅速に政策金利を引き上げていく意向を示した。

(3)FRBの保有資産縮小について
「FRBの保有資産縮小計画」が公表された。1月に示された原則に基づき、償還金、クーポンの再投資の停止により縮小を進められる。米国債では、再投資停止額が月額上限を下回る場合は、米財務省短期証券(Treasury Bills)で調整することが明らかとなった。また、十分な準備高をやや上回ると判断される水準でQTの減速および停止に着手する。
以上を踏まえると、0.50%利上げの継続方針、QTペースの確定を受けて、金融政策の予見性は高まった。ただし、これらの金融引き締めによりインフレに歯止めがかかる保証はなく、声明文に「インフレリスクを強く注視している」と追記されインフレ抑制姿勢が一段と明確になっているため、物価動向次第で引き締めペース加速が惹起される状況は変わらないだろう。

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