国債市場見通し
2022-05-06
■【ユーロ圏国債】独国債利回りは高止まりの時間帯が続くと予想
■【日本国債】日銀の方針を受けて、国債市場は二極化へ
4月の独国債相場は5カ月続落(利回りは上昇)。3月のユーロ圏消費者物価指数は、改定値(前年比7.4%上昇)がやや下方修正されたものの、インフレ高進への警戒感が強まった。また、3月の欧州中銀(ECB)理事会議事要旨の公表以降、月末にかけて複数のECB高官が今年7月の利上げ実施に支持を表明。独10年国債利回りの上昇圧力につながった。フランス(仏)大統領選は市場予想通りマクロン氏の勝利に終わり、欧州債券市場の反応は限られた。6月には仏国民議会選挙も控えるが、5月はひとまずECBの金融政策姿勢に市場の注目は戻りそうだ。ラガルドECB総裁までが年内の利上げ開始に言及するなかで、ECBはインフレ抑制姿勢を一段と強めるとみられる。欧州の景気減速懸念はくすぶるものの、同利回りは高止まりの時間帯が続くと予想する。
4月の日本国債相場は小幅ながら3カ月続落(利回りは上昇)。月を通じて、海外からの金利上昇圧力が波及したものの、日銀の金融緩和姿勢が日本10年国債利回りの上昇を抑えた。中旬以降、主要国の金利上昇が進んだ一方、日銀は21日から28日にかけて連日の「指し値オペ」を実施し、金融緩和姿勢の維持を市場に印象付けた。4月末に開催された日銀の金融政策決定会合での決定を受け、国債市場は二極化が進みそうだ。今会合では政策の現状維持に加えて、10年国債利回りを0.25%とする「指し値オペ」を、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日実施する方針が発表された。そのため、今後は海外金利の上昇圧力が高まった場合、残存期間10年超の国債利回りは上昇が見込まれる。他方、同10年以下の国債利回りについては利回り上昇が限られよう。