米国・欧州経済
2022-05-05
■米国経済 ≫ 1-3月期はマイナス成長だが、民間需要は堅調に推移
■欧州経済 ≫ エネルギー以外でインフレが加速
1-3月の実質GDP成長率速報値(前期比年率マイナス1.4%)は市場予想に反して7四半期ぶりにマイナス成長となった。ただし内訳をみると、輸入(寄与度:同マイナス2.53%ポイント)、在庫(寄与度:同マイナス0.84%)の寄与が大きく、必ずしも景気減速を示している訳ではない。個人消費支出(同2.7%増)、民間投資(同2.3%増)など民間需要項目の拡大基調は保たれている。また、GDPデフレーター(同8.0%上昇)は上昇ペースが加速し、インフレ圧力が一段と強まっていることも示された。
4月の消費者信頼感指数(107.3、前月比0.3ポイント低下)は2カ月ぶりに小幅低下した。現況指数が低下したものの、期待指数は上昇した。現況指数は引き続き高水準にあり、4月まで景気拡大が続いていることを示している。また、ガソリン価格高騰やウクライナ侵攻への警戒は強く、期待指数は依然として低水準ながら、自動車、電気製品など高額商品の購入意欲がやや高まっていることを確認された。
1-3月期のユーロ圏実質GDP成長率速報値(前年比5.0%、前期比0.2%)は、前期比では昨年10-12月期より成長が鈍化したが、2月下旬のロシアによるウクライナ侵攻後も緩やかながら景気拡大が続いていることが示された。ドイツ(前期比0.2%)が2四半期ぶりにプラス成長に転じた一方、フランス(同0.0%)は成長が鈍化し、イタリア(同マイナス0.2%)はマイナス成長となった。
4月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(前年比7.5%上昇、前月比0.6%上昇)は前年比ベースでの上昇ペース加速が続いている。エネルギー(前年比38.0%上昇、前月比3.7%低下)の上昇ペース加速に歯止めがかかったものの、食品、サービスなどその他の主要項目では総じて物価上昇圧力が強まり、エネルギー・食品・酒類・タバコを除くコアHICP(前年比3.5%上昇、前月比1.1%上昇)は上昇ペースが一段と加速した。インフレの裾野が広がっていることがうかがえる。