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FOMCプレビュー:注目は先行きの利上げ実施ペースへ

2022-04-29

■ 5月FOMCでは、少なくとも「0.50%幅の利上げ実施」が決定される見込み

■ FRB高官は積極的に利上げを進める姿勢を共有し、金融市場でもそれを踏まえた価格形成に


    5月3、4日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.50%幅の利上げが実施され、政策金利は0.75-1.00%へ引き上げられるとの市場の見方が固まった。また、FRBの保有資産縮小(QT)についても、早ければ今回のFOMCで開始が決定される見込み。利上げを巡っては、4月21日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が決め手となった。

   パウエルFRB議長を含む複数のFRB高官が4月に発言した内容を整理すると、今後の利上げについては、今のところ概ね下記の見解に集約されている。すなわち、(1)インフレ抑制のため、なるべく早期に政策スタンスを中立的な位置へ近づける必要がある、(2)1回の利上げ幅が0.75%だと米景気や市場への衝撃が大きい、(3)米国経済は力強いが、景気後退を引き起こすことなく利上げを進めることを目指す、である。なお、政策金利の「中立水準」については、3月FOMC後に発表された政策金利見通しでも示された通り、「2.25-2.50%」との推計がFRB内の多数派であると確認された。総じて、米国経済への悪影響に配慮しながらではあるが、積極的に利上げを進めていく姿勢はFRB内で共有されているとの認識だ。

    本稿執筆時点で、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFF金利先物市場では、今年9月のFOMCまでに政策金利は「2.25-2.50%」へ引き上げられる確率が8割程度織り込まれた価格形成となっている。3月の米消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比8.5%と、1981年12月以来の水準に達していることから、こうした市場の見方は上記(1)を踏まえた動きと言えよう。また、5月FOMC後の議長記者会見では、(2)今後の利上げ幅についてと、(3)米景気の先行きを巡る発言に注目したい。仮に「0.75%幅の利上げ実施も議論された」等の言及があれば、一段の利上げペース加速が市場に織り込まれる可能性がある。一方で、インフレ抑制と米国景気の維持を巡る舵取りの難しさが強調された場合、利上げペース加速の織り込みが後退する恐れもある。現時点で当行は、今年9月FOMCまでにFRBが「中立水準」までの利上げを実施するとの見通しを維持しておきたい。
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