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原油:国際機関は需要見通しを下方修正

2022-04-27

■ 国際機関は原油需要見通しを下方修正

■ 今後の原油需給は概ね均衡、WTIは明確な方向性を見出しにくい展開か


    米国では季節的に需要増への思惑が強まりやすい時期を迎える。春場の製油所のメンテナンス作業実施が終了に向かいつつあり、原油在庫を積み増す動きが出やすくなるほか、5月30日のメモリアル・デーに伴う連休から9月5日のレイバー・デーに伴う連休にかけて、夏場のドライブシーズンが到来する。原油先物市場ではこうした要因が材料視され、原油先物価格(WTI)が下支えされる可能性はある。

    こうしたなか、国際機関による4月時点の2022年原油需要見通しが出揃った。国際エネルギー機関(IEA)は前年より日量190万バレル増加すると予想し、新型コロナ禍からの経済再開に伴い前年より日量650万バレル増加した2021年に続き2年連続で増加すると見込む。しかしながら、ウクライナ情勢の悪化や中国の都市封鎖などの影響を加味し、日量81万バレル下方修正している。IEAのほか、石油輸出国機構(OPEC)と米エネルギー情報局(EIA)の4月の原油需要見通しも同様に、2年連続で前年より需要が増加するとの予想は維持したものの、前月より下方修正した。季節的な需要増への思惑から原油先物価格(WTI)が上昇しても、その持続性を慎重に見極める必要があるだろう。

    一方、供給面では増産に対する慎重な姿勢が保たれよう。各国のロシア産原油離れが進むなか、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国で構成する組織(OPECプラス)は3月末に開催した閣僚級会合で5月まで現行の生産計画を維持するなど、増産意欲は乏しい。米国のシェールオイルの生産も、投資家による資本規律維持の要求を満たすため、慎重な増産ペースが保たれる公算が大きい。EIAによる需要・供給見通しをもとに世界の原油の需給バランスをみると、2020年7-9月期以降続いてきた需要超過は2022年1-3月期に再び供給超過に転じるものの、概ね需給が均衡した状態が続くと見込まれている。WTIは明確な方向感を見出しにくい展開が続くと思われる。
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