円高への警戒感
2022-04-26
■ 21日の日米財務相会合では、通貨当局の間で緊密な意思疎通を図るにとどまる
■ 米英など主要中銀の政策決定後、円売りが一時的に巻き戻される展開にも留意すべきか
22日、米財務省は21日の日米財務相会談を受けて声明を発表。「為替レートに関するG7とG20における従来のコミットメントを維持する重要性を強調した」として、「為替レートは経済のファンダメンタルズを反映する」、「競争力のために為替レートを目標としない」など従前の考えを踏まえ、日米通貨当局の間で緊密な意思疎通を図るにとどまった。鈴木財務相は先に「円相場が急激な変動であることを数字で説明した」と発言したが、協調介入(ドル売り・円買い)が合意されるとの市場期待は空振りに終わった。こうしたなか、日銀は27、28日に金融政策決定会合を開く。市場では政策調整を行うとの期待がくすぶるが、黒田日銀総裁は22日の講演で、2%の物価目標の達成には依然として距離があり、強力な金融緩和を続けていく方針を示した。
米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の非商業部門の取り組みによれば(4月19日時点、ネット)、ドルの買い越しは15万3496枚と3月29日をピークに3週連続で減少。円の売り越しは10万7187枚と前週比で減少したが、昨年12月28日時点(53102枚)と比べて依然として高水準が続く。こうしたなか、5月3日には豪中銀(RBA)理事会、同3、4日には米連邦公開市場委員会(FOMC)、同5日には英金融政策委員会(MPC)、など主要中銀が政策決定会合を開く。早ければ、RBAは小幅ながら政策金利を引き上げるほか、FOMCでは50bpsの利上げが検討される、MPCは4会合連続で25bpsの利上げを決定する、と見込まれる。日銀の政策姿勢との乖離によって、円の相対的に低い金利水準が意識されやすく、主要通貨に対して円が一段と減価するとみる向きは少なくない。ただ、主要中銀の政策決定会合が一巡した後、IMM通貨先物で積み上がった円の売り越しが解消されれば、一時的であれ円買いに拍車がかかる展開にも留意すべきと考える。