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2022年4月第4週目(25日~29日)の相場展望

2022-04-25

早いもので、今年はもう4月が終わってしまい半分近く過ぎようとしている。桜も散り、いつの間にか暖かくから梅雨の走りかというくらい季節の流れが早く感じてしまう。毎日相場と睨めっこしていると年初からの乱高下で時間が早く過ぎ去っていく。今年は行ってまもなくロシアのウクライナ侵攻で株価が大きく下落し、その後戻りもそれなりに大きかった。その後一息かと思いきや、日銀黒田総裁の頑固なまでの金融緩和政策を貫くという意思を感じた市場は、為替相場へ火が付いた。着火したばかりでも一か月半で10%も円安ドル高となり、なかなか落ち着かない相場が続いている。変動率が大きい背景は、新型コロナからウクライナへの侵攻などあるが、基本的には世界的な金融緩和でマネーが暴走していることだ。FRBが利上げに積極的だが、バランスシートの縮小はしてもまだ買っている事実からマネーの縮小は簡単には起きず、日銀やECBはまだ債券や株を買い続けているということで依然マネーは膨張している。キャッシュの価値は下がっていき、物価と株価が上昇するのは理に叶っている状況である。仮想通貨に少し流れる程度ではマネーの行き場を十分提供するには程遠い。実際、日本では新築マンション販売価格は過去最高だ。本当に日本は物価が安いのか?と勘違いさせられるくらい投資額が膨張している証だ。FRBが躍起になって住宅関連指数を抑え、マネーを引き上げないと近い将来コントロールが効かなくなるのは当然だ。消費財にも火が付いた物価を止める手段は無いはずだ。物価と株価が上がってインフレを凌ぐことで企業業績が上がり、時間差はあるが、給与の良い企業へ転職が進む。その後全般給与が上がるという動きでやっと30年間のデフレマインドが払しょくする。というシナリオしか日本復活はないかもしれない。円安は行くだけ行ってどうなるのか、やってみれば良いと思っている。ある意味、自身の責任をもって大きな賭けを行っている黒田総裁は立派なのかもしれない。近い将来の結果がそれを判断するのだろう。大きな国策も計画せず、どういう国にしたいのか?何をしたいのか?何をやっているのか? 国民から見ても訳のわからない逃げの政治家よりは全然ましに見えてきた。

米国10年債利回りはじりじりと上昇し、3%直前まで迫ってきた。2019年は3.27%まで上昇しているが、物価の上昇懸念はそれとは比較にならないし、株価レベルも大きく上がっている。今回の10年債利回りは3.5%程度で収まるわけではないと思っている。リーマンショック前は5%強合ってドル円は125円台だった。その際は円安が大きく進んで円キャリーの額がとてつもなく増えており、円を借りて海外に投資していた向きが大きかった。リーマンショックではその逆回転で大きく円高になった。今回はそれとは違い日米の金利差と日銀の飽くなき緩和姿勢が背景である。ドル高+円安、両方の材料でドル円は押し上げられている。今回はドル円がターゲットとなっている証として、リーマンショック前はドル円125円、ユーロ円170円、ポンド円はなんと250円だった。現在のユーロ円は139円、ポンド円は167円程度である。FRBのパウエル総裁は、5月3、4日のFOMCでは、50ペーシス(0.5%)の利上げを検討しているとコメントした。わざわざ言う必要は無かったと思うが、市場との対話を重視する方向であるため言及したと考えている。またコメントした後の相場の動きもしっかり見ているだろう。大きな影響が無いようなら、予定通り実施するということだろう。余程株価や長期金利に対して気を使っていると考えられ、本来は関係ないはずであるが株価の水準は大きな要素として管理しているのではないかと思っている。株価が暴落するなら利上げ幅も調整するはずである。株価は結局のところ支えられることになり、マネーの膨張は簡単には収まりそうもないと考える。とりあえず先週末時点で0.5%の利上げは100%織り込んだと思われるので、株価の下押し材料はウクライナ情勢もある程度織り込んでいることで、少なくなってきた。次のFOMCまでは株価のポジション調整で動きは限定されよう。またドル円も129円台へ乗せ、節目の130円手前まで上昇したことでやや利食いに押される展開となっており、私の最初のターゲット予想128-130円にも届いている。調整期間を経て再度上昇のタイミングを計る期間が必要かもしれない。

ドル円のチャートからは、1時間足の一目均衡表の雲が上昇傾向にあり、雲にまとわりつくかのようにじりじりと堅調推移となっている。3月末に黒田ラインと言われていた125円を付けたところから下げた時にこの雲を下回った。その際には約4円の下げがあり、約一週間調整となった。直近では先週金曜日の日本時間で週末を控えて利食いとみられる売りに見舞われ一旦は雲の下限を突き抜けて調整かと思われたが、数時間後に雲の中に入り堅調さと取り戻している。ただ雲を下回ったことで上値も重いようで売り物が散見されているのだろう、レンジ相場に変わってきた。金曜日のNYK市場で、パウエル総裁からの発言で次回の会合で0.5%の利上げに前向きという発言があったため、株価が大きく下落したことでクロス円に売り物が多くでた。クロス円の売りがドル円の頭を押さえた格好となっている。今週は1時間足の一目均衡表雲の上昇が下値を支えそうだが、この雲が下落に転じ且つ雲の下限を下抜けると上値の重さを強く感じられるようになるだろう。下値の目途は127円半ば、高値ターゲットは130円となりそうだ。

ドル円の一時間チャート


今週は、ドイツとフランスで消費者物価指数とGDPの発表があり、米国でも同様に1-3月期のGDP統計や個人所得の発表予定。日本では日銀金融政策決定会合が開催され、会合後の黒田日銀総裁の記者会見に注目が集まる。円安が影響を及ぼすインフレ懸念と低金利政策への不合理さをどのように説くのか。先週末のパウエル総裁が5月FOMCで0.5%の利上げを検討しているということだが、相場はそれ以前に既にほぼ織り込んでいたことで、米国株の下落は意外だったのかもしれない。FRBの面々がその動きを注視していながら市場と対話するのであれば、今週はややトーンを落とした内容でコメントするのではないだろうか。それとも強烈にインフレを抑えるような発言を繰り返すのか、米国株の下落が大きかったことで下げ止まるのかどうか、今週の動きは重要となるだろう。
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