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ECB理事会レビュー:ユーロは対ドルで2年ぶり安値

2022-04-18

■ ECBは7-9月期の資産購入プログラム終了の方針だが、利上げ開始の具体性は明示せず

■ 年内の利上げ観測は根強いが、利上げペースの後ずれはユーロ安に拍車を掛ける展開も


欧州中銀(ECB)は14日の理事会で政策金利の据え置きを決定した(預金ファシリティ金利はマイナス0.5%)。声明では、「3月の理事会以降に入手したデータは、資産買い入れプログラム(APP)の買い入れは7-9月期に終了する見通しを強めると判断した」として、4月は400億ユーロ、5月は300億ユーロ、6月は200億ユーロ、と段階的に縮小する方針を維持。7-9月期については次回の経済予測に基づいて決定される。また、金利調整はAPP終了後しばらくしてから行われ、緩やかになるとのガイダンスも据え置かれ、利上げを急がない姿勢が確認された。ラガルドECB総裁は会見で、ウクライナでの戦争の結果、成長見通しの下方リスクは大幅に高まったとして、政策運営は選択性、漸進性、柔軟性を維持するとの認識を示した。

ECBは利上げに関わる具体策を示さず、少なくともスタッフによる最新経済見通しが公表される6月9日の次回理事会まで先送りした。だが、3月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)上昇率(速報値)は前年比7.5%へ加速。期待インフレ率の目安となる5年先5年物インフレスワップは中銀目標を上回る2.3%台まで急伸している。早ければ、7月21日の理事会で預金ファシリティ金利は引き上げられ、年末にはプラス圏に浮上すると市場は見込むが、米連邦準備理事会(FRB)よりも緩やかな利上げとなり、政策金利差は一段と拡大するとみられる。為替市場ではユーロドルは1.07ドル台後半まで急落し、2年ぶりのユーロ安・ドル高水準を更新。ドル>ユーロ>円相場のなかで、高止まりのユーロ円が5日安値134円28銭を明確に下抜けるかどうか注視したい。
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