米国株:決算発表はセクターごとに明暗分かれる公算
2022-04-15
■ 1-3月期決算は利益の伸びが鈍化するものの、堅調な伸びが見込まれている
■ 経営環境の変化に伴い、セクターごとの明暗が鮮明に
昨日の米金融大手を皮切りに、米主要企業の1-3月期決算発表が本格化する。情報会社リフィニティブの集計(4月8日時点)によれば、S&P500株価指数構成企業の一株当たり利益(EPS)は前年比6.1%増と、昨年10-12月期(同32.1%増)から鈍化するものの堅調な伸びが見込まれている。ただ、一部企業のプレアナウンスメントによれば、1-3月期のEPSに関して、72社が悪化もしくは市場見通しを下回るとの見方、26社が改善もしくは市場見通しを上回るとの見方を示しており、昨年10-12月期(それぞれ57社、34社)より企業の利益見通しは一段と慎重化しているようだ。
また、セクターごとのEPS成長率の乖離が一段と大きくなることが想定されている。資源価格の上昇を受けてエネルギーセクターが前年比約239%増と見込まれるほか、販売価格への転嫁を進めやすい素材・資本財セクターが同30%超の増益と予想されている。一方、物価高に賃金上昇が追い付いておらず消費者心理が悪化しやすいなかで、調達コスト上昇が利益を圧迫しやすい一般消費財セクターは同約12%減と予想。急速な利上げが見込まれるなか長短金利差拡大の恩恵を受けにくいほか、地政学リスクの高まりと金融市場の変動による悪影響が懸念される金融セクターは同約23%減が見込まれている。投資環境の変化に伴い、利益成長はセクターごとに明暗が鮮明になることが想定され、ロシア向け金融経済制裁やインフレが企業利益の先行きに及ぼす影響を、経営陣からの情報発信などを通じて見極めたい。