資源国通貨高の趨勢
2022-04-12
■ ドルインデックスは100台を回復、米ドル高・欧州通貨安・円安の様相を呈する
■ 加・NZ中銀は13日に追加利上げの公算、加ドル・NZドル高が一服しても上昇基調は継続へ
先週末、ドルインデックスは一時100台を回復し、2020年5月下旬以来の米ドル高となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)が1月下旬の会合で引き締め姿勢を強め、短中期債を中心に利回りは上昇。新型コロナオミクロン株の感染拡大による景気低迷が指摘されるなか、米連邦準備理事会(FRB)の政策指針は具体性を欠いた。だが、3月下旬の会合では0.25%の利上げを決定。FOMC参加者の政策金利見通しは中立金利を上回るペースでの引き締めが示唆された。その後、パウエル議長とブレイナード理事が早期の大幅利上げや保有資産の縮小を主張、長期債利回りも上昇しドルを押し上げた。
年初来の為替市場を相対的にみれば、エネルギー・穀物の価格高騰を背景に資源国通貨高の優位性が際立つ。日本の経常収支が通年・暦年ベースで赤字化する可能性が高まるほか、日銀が長期金利上昇の抑制を狙い、「指し値オペ」で新発10年物国債を0.25%で無制限に買い入れたことで金利差拡大への思惑が高まり、円安に拍車を掛けた。結果、円に対する豪ドル、カナダ(加)ドル、ニュージーランド(NZ)ドルの上昇率は8-10%前後とユーロとポンド(3-4%前後)と比べて目を引く。
13日、加中銀(BOC)とNZ中銀(RBNZ)は金融政策会合を開く。市場予想によれば、BOCは0.50%、RBNZは0.25%の追加利上げを決定する見通し。RBNZは主要国に先んじて政策正常化に舵を切ったが、2月下旬の前回会合では物価上昇リスクに鑑み、大幅な利上げの用意があると指摘。BOCは継続的な利上げを示唆したほか、保有資産縮小の開始時期を検討するとした。雇用改善が続くなか、消費者物価指数上昇率はいずれも中銀目標を大幅に上振れており、今後も政策金利の引き上げは漸進的に行われる可能性が高い。加ドル、NZドル高に一服感が広がっても、昨年10月高値(93円02銭、82円50銭)を下値メドに上昇基調は続くとみている。