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米国:金融政策見通しを修正

2022-04-11

■ 複数回の50bps利上げが想定される

■ 保有資産縮小は8月に上限ペースに達する見込み


6日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月15、16日開催分)を受けて、米国の金融政策の先行きを見通しやすくなった。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「今後より迅速に中立的な金融政策姿勢に移行することが適切」との見解を示し、ブレイナード理事は「今年後半までに」と時期をある程度特定した。これが政策金利そのものを示すとすれば、年後半にFF金利は中立水準(2.4%)を上回る計算になる。現時点のFF金利誘導目標の上限は0.5%であり、年後半までに2%以上の利上げが必要であることを意味し、複数回の50bpsの利上げが示唆される。また、一度50bpsに引き上げられた利上げペースを25bpsに落とすためには、経済金融環境の変化が必要になるとみられ、具体的にはインフレの伸び鈍化ということになろう。

5月、6月、7月、9月のFOMC会合では50bpsの利上げが決定されて、FF金利は中立水準に到達。その後は保有資産縮小のペースアップと物価の伸びのピークアウトを想定し、11月、12月の会合では25bpsにペースを落としながらも利上げを継続し、今年末のFF金利は3%となるとみる。来年以降は同水準で据え置くことをメインシナリオとするが、FRBが指摘している通り、景気・物価動向次第で一段の引き締めも緩和への転換もありうると考える。

保有資産縮小に関しては、5月に開始し3カ月後の8月には月950億ドル(国債600億ドル、住宅ローン担保証券350億ドル)の縮小ペース上限に達すると想定している。米FRBの公開市場操作勘定(SOMA)における米国債と米財務省短期証券(Tビル)の償還スケジュールを確認すると、償還金再投資停止の現行の政策の枠組みでは月600億ドルが限界で、それ以上に国債残高の縮小ペースを速めるには、保有資産の売却を行う必要があるとみられる。経済金融環境の変化がない限り、そこまで踏み込む公算は低いと考える。
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