News

FOMC議事要旨:緩和的な政策姿勢の早期修正を志向

2022-04-08

■ FOMC議事要旨は、緩和的な政策姿勢を迅速に修正することを強く示唆

■ 経済金融環境が大きく変わらない限り、金融引き締めペースの加速が継続か


6日、3月15、16日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表された。3月15、16日のFOMCでは、0.25%の利上げを反対1票(セントルイス連銀のブラード総裁が0.50%の利上げを主張して反対)で決定した。また、同時に発表された「経済見通し概要(SEP)」では、参加者の政策金利見通しが昨年12月時点より大幅に引き上げられ、年内は毎会合、利上げを実施することが示唆されていた。
議事要旨で新たに明らかとなったポイントには、主に以下の3点が挙げられる。
(1)多くの(Many)参加者が将来的に1回以上0.50%の利上げを実施することが適切であると認識している点
(2)米連邦準備理事会(FRB)の保有資産縮小規模の上限を月額合計950億ドル(米国債600億ドル、米住宅ローン担保証券350億ドル)とし、今後3カ月程度(より長期化する可能性も残している)で段階的に上限までペースを引き上げることに合意している点
(3)今後より迅速に中立的な金融政策姿勢に移行することが適切であると判断している点
3月のFOMCでは、開催直前にロシアへの経済制裁が発表されたため0.25%の利上げにとどめられたが、FOMC参加者の間では、より大幅な金融引き締めが適切であるという共通見解に至っている模様である。パウエルFRB議長は、FOMC開催後の3月21日の講演のなかで上記(3)の見解を示しており、物価安定のために必要ならば、さらに引き締めることを否定しなかった。多くのFRB高官もこの見解への支持を表明している。また、4月5日にはブレイナードFRB理事が、「今年後半までに」金融政策姿勢を中立水準へ修正すべきことを主張している。次回5月のFOMCでの0.50%の利上げと保有資産縮小への着手が濃厚になるとともに、経済金融環境が大きく変わらない限り、6月以降も0.50%利上げを継続し、保有資産縮小ペースを加速させることについて合意が形成されつつある。早期に緩和的な政策姿勢を修正するというFRBの強い決意が読み取れる。
TOP