仏大統領選 ユーロ相場への影響
2022-04-07
■ 5年に一度の仏大統領選、マクロン大統領は年金改革と完全雇用を掲げ再選目指す
■ マクロン大統領と候補者の支持率は縮まり決選投票は必至、政局不安はユーロの重しに
10日、フランス(仏)大統領選の第1回投票が行われる。マクロン大統領は再選を目指し、3月に公約を発表。年金改革と完全雇用で年150億ユーロを捻出、同150億ユーロの減税も実施する。定年退職年齢を62歳から65歳へ段階的に引き上げ、今夏をメドに関連法案を国会に提出するが、高齢化で続く社会保障支出(年金を含む)の拡大を抑えるのが狙いだとして、労働組合は反対しているという。また、職業訓練や復業支援を充実し完全雇用を目指すが、負担増から雇用をためらう企業も指摘されている。エネルギー政策では原発促進を強調、安全保障政策では仏軍の近代化を進め、欧州全体の安保能力を高めていく姿勢だ。マクロン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻に関わる積極的な外交政策などが支持率上昇につながり、極右・国民連合党首のルペン氏、急進左派「不服従のフランス」党首のメランション氏など複数候補者を引き離したと伝えられていた。
ただ、第1回目の投票で過半数を得る候補者はいないと見込まれている。24日の決選投票では上位2候補が進むが、2017年の大統領選決選投票では、ロシアの銀行から選挙資金を借り入れたルペン氏は批判を受け大敗の一因となった。今大統領選ではハンガリーの銀行から多額の融資を受けたと伝えられておりロシアの影はちらつくが、中間所得層と低所得層の購買力低下に焦点を絞るなどして支持率を回復。調査会社ハリス・インタラクティブが4日に発表した世論調査によれば、マクロン大統領との支持率の差は縮まり、決選投票に持ち込まれればルペン氏に投票する有権者が増えるという。マクロン大統領はウクライナの欧州連合(EU)加盟には慎重だが、東欧諸国はウクライナなどのEU加盟がEU拡大ひいては東欧の安定につながるとの認識。2017年の仏大統領選決選投票では、EU離脱とユーロ廃止を掲げたルペン氏が大敗し、ユーロは反転騰勢を強めた。足元は政局不安もユーロの重しとなっている。対ロシア・中国外交が注視されるなかウクライナ情勢も争点となるが、2022年上期のEU議長国であるフランスが果たす役割は大きく、2017年のユーロ相場が再来するかどうか注目される。