News

米雇用統計は概ね良好、次の注目は米消費者物価指数

2022-04-05

■ 3月の米雇用統計は概ね良好な結果だったが、市場の利上げ織り込みは大きく変わらず

■ 注目は12日公表の米消費者物価指数に移るが、FRBの保有資産縮小を巡る議論も押さえたい


4月1日に公表された3月の米雇用統計は概ね良好な結果で、金融市場では米国の労働市場の堅調さが印象付けられた。失業率は3.6%へ一段と低下して2020年2月以来の低水準となったうえ、「完全雇用」とされる4.0%を引き続き下回った。また、平均賃金は前年比5.6%上昇と、前月(同5.2%上昇)から伸びが加速した。非農業部門雇用者数(NFP)は前月比43.1万人増と市場予想を下回ったが、前月分が同67.8万人増から同75万人増へ上方改定された。

一方、雇用統計の結果を受けてもFF金利先物価格から算出される、米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースの織り込みに大きな変化はなかった。3月25日時点と比べ、5月と6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で連続して0.5%幅の利上げが実施されるとの織り込みは7割から8割程度と、米雇用統計の発表前後で変わっていない。このことから、金融市場の注目は、米労働市場の動向から物価上昇圧力の継続性へ明確に移ったと言えよう。平均賃金の結果は物価上昇圧力につながるため、5月FOMCでの「0.5%幅の利上げ実施」は、ほぼ確定的とみてよいだろう。ただし、金利市場で6月FOMCまでの「連続0.5%幅の利上げ実施」の織り込みが進むとすれば、4月12日に公表予定の3月消費者物価指数(CPI)まで待つ必要があると考える。

そのほかのイベントでは、4月6日に3月FOMCの議事要旨が公表される。パウエルFRB議長が予告したように、FRBの保有資産縮小(QT)を巡る議論の詳細が伝えられる見込み。カンザスシティ地区連銀総裁は、「FRBの資産買入策(QE)は米10年国債利回りを1.5%ポイント押し下げている」との試算を発表している。こうした発表もあって、3月FOMC議事要旨発表が一段の米金利上昇を招くとの警戒感がくすぶるため、金利上昇につながるイベントとして、念のため注意しておきたい。
TOP