株式の物色動向に変化がみられるか
2022-03-25
■ 日米欧主要企業の業績見通しに下振れリスクが強まっている
■ 業績見通しが相対的に堅調なハイテク株やグロース株に物色が向かう可能性も
日米欧の株式市場では、企業業績の先行き不透明感が漂い始めている。先週末18日時点の情報会社Refinitiv集計のリビジョン・インデックス(RI、向こう1年を基準としたアナリストの業績予想の上方修正比率から下方修正比率を差し引いた値)は、S&P500がマイナス1.0%、ストックス欧州600指数はマイナス15.0%、TOPIXはマイナス1.5%といずれもマイナス圏に落ち込んだ。新型コロナ禍の影響は一巡しつつあるとみられるが、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原材料高により企業の利益率が低下するおそれがあるほか、西側諸国によるロシア向け経済金融制裁の影響は依然として織り込み切れていないと思われる。こうしたなか、RIがマイナス圏に落ち込む期間が長くなれば、向こう1年の予想一株当たり利益(EPS)が伸び悩んだり、低下に転じる傾向にあることから、株価見通しの修正を迫られかねない。引き続き企業業績の動向を慎重に見極める必要があるだろう。
こうしたなか、米国の主要なハイテク株で構成されるナスダック100のRIはプラス5.0%と昨年12月以来となるプラス圏に浮上した。S&P500バリュー株指数のRIはマイナス6.6%と昨年10月以来となるマイナス圏に落ち込んだが、同グロース株指数のRIはプラス13.1%とプラス圏を維持している。米国債利回りの上昇を受けて割高感が意識され、ハイテク株やグロース株に売り圧力が強まったが、米利上げ加速が意識されるなかで米国債利回りの上昇余地が限定的との見方が強まるようであれば、割高感の修正が一巡したと判断される局面が訪れよう。その際にはRIが相対的に堅調なハイテク株やグロース株に物色が向かう可能性がある。