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国内投資家は「先進国株式への押し目買い」を継続

2022-03-11

■ 1-2月の国内投信市場動向では、株価下落局面での「株式への押し目買い」が確認された

■ 現時点では企業業績に変調の兆しがみられないが、対ロシア金融制裁の悪影響を注視したい


    本稿では、今年1月から2月までを通じた国内投信市場動向を振り返る。この間、年初からみると、株式や債券は概ねマイナスリターンとなっている。2月末時点の株式の下落率は、米国株(S&P500)が8.2%、日本株(TOPIX)が5.3%、欧州株(STOXX欧州600)が7.1%など。債券の下落率でも、米投資適格級(IG)社債指数(Bloomberg債券インデックス)は5.0%、米ハイイールド社債指数(同)は3.7%、欧州IG社債(同)は3.8%、欧州ハイイールド社債(同)は4.2%などとなっている。1年のスタートとしては、投資家にとって非常に苦しい時期だった。

   そんななか、国内投信市場では2カ月合計で約1.5兆円の資金流入超と、国内投資家の投資意欲が確認された。なかでも、海外株式へ投資するファンドに対しては約8600億円の流入超過で、単月ベースでの4000億円超の流入超過は11カ月連続となった。インデックスファンドを中心とした積み立て投資を行う層が一定程度存在していると推測する。一方で、1月はバランス型ファンドへの資金流入が約2800億円確認されていたが、2月は約400億円まで資金流入額が減った。株価下落局面では「株式への押し目買い」での対応が根強いと言えよう。

   少なくとも、現時点で企業業績に変調の兆しはみられないことが、国内投資家による「株式への押し目買い」対応の根拠になっているとみられる。情報会社リフィニティブの集計では3月4日時点で、米国株(S&P500)の今年1-3月期利益見通しが、前年同期比6.2%増、4-6月期利益見通しは同5.7%増と、今のところ堅調な展開が見込まれる。また、日本株(TOPIX)は同24.7%増、同11.0%増。欧州株(STOXX欧州600)は同18.9%増、同5.7%増となっている。

    しかしながら、今回のウクライナ危機で西側諸国によるロシアに対する金融制裁の規模は、過去と比較にならないほど大きい。特に、「一部のロシア系銀行の国際銀行間通信協会(SWIFT)除外」に伴う、西側諸国の景気や企業に対する打撃は、今後時間がたって明確となる見込み。インフレ高進の継続も相まって、株式市場の変動幅が大きな状況は続くと予想する。
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