ドル高を凌駕するユーロ安への懸念
2022-03-03
■ ロシアのウクライナ侵攻で、為替市場ではドルインデックスが急騰し高止まりの様相
露中銀は2014年の「クリミア併合」を契機に、外貨準備を6300億ドル(GDP比40%)に積み上げたが、主要中銀による同国の外貨準備凍結によって外貨不足に陥るリスクが浮上。市場介入でルーブルを買い支えることもできず、ルーブルは対ドルで44%超急落し史上最安値を更新中だ。こうしたなかで、ロシア向けのエクスポージャーが大きいイタリアとフランスの信用リスクも懸念される。国際決済銀行(BIS)によれば、両国金融機関が保有するロシア向け与信残高は500億ドル超と外国銀行全体の40%強を占め、米国金融機関(147億ドル)を大幅に上回る(2021年9月時点)。今後、ロシア向けの不良債権が増大し、信用格付けの低いイタリアのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)はさらに上昇することが見込まれる。だが、対外債権に占める与信残高の割合は小さく、世界的に金融システムを脅かす事態には陥らないだろう。
■ ロシア向け欧州金融機関の与信は相対的に大きいが、金融システム不安に陥る可能性は低い
露中銀は2014年の「クリミア併合」を契機に、外貨準備を6300億ドル(GDP比40%)に積み上げたが、主要中銀による同国の外貨準備凍結によって外貨不足に陥るリスクが浮上。市場介入でルーブルを買い支えることもできず、ルーブルは対ドルで44%超急落し史上最安値を更新中だ。こうしたなかで、ロシア向けのエクスポージャーが大きいイタリアとフランスの信用リスクも懸念される。国際決済銀行(BIS)によれば、両国金融機関が保有するロシア向け与信残高は500億ドル超と外国銀行全体の40%強を占め、米国金融機関(147億ドル)を大幅に上回る(2021年9月時点)。今後、ロシア向けの不良債権が増大し、信用格付けの低いイタリアのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)はさらに上昇することが見込まれる。だが、対外債権に占める与信残高の割合は小さく、世界的に金融システムを脅かす事態には陥らないだろう。