米金融機関の融資基準は緩和度合いが縮小
2022-02-28
■ 企業からの融資需要は増加、米金融機関の融資基準は緩和度合いが縮小
■ 堅調な増益基調が示唆されるが、実現できるか注視
米連邦準備理事会(FRB)は2月1日に、最新のシニア・ローン・オフィサー・サーベイを公表した。これはFRBが米金融機関に対して3カ月前と比較した融資基準や資金需要などの変化について四半期ごとに聞き取り調査を行うもので、調査対象となる金融機関は昨年12月13日に調査票を受け取り、同30日までに回答した。これによれば、大・中企業(年間売上高5千万ドル以上)向け融資基準DI(全回答に占める厳格化の割合-緩和の割合)はマイナス14.5と前回10月調査(マイナス18.2)から緩和度合いは縮小したものの、4回調査連続で二けたの緩和超となった。企業業績の改善に伴う信用リスクの低下に沿って、融資基準の緩和が継続している。また、融資需要DI(全回答に占める需要増加の割合-需要減少の割合)は21.7と前回7月調査(7.6)から上昇した。経済活動の持ち直しやFRBによる金融引き締めへの思惑から低金利下での借り入れを急いだと解釈される。
なお、融資基準DIは設備投資や鉱工業生産、新規雇用の先行指標として有効に機能してきたほか、企業の営業利益率に対して概ね3四半期の先行性が確認されており、今年後半の企業利益が下支えされることが示唆される。市場では、今年のS&P500株価指数構成企業の一株当たり利益(EPS)に関して7.5%増と見込まれている(2月18日時点)。ただ、一部企業のプレアナウンスメントによれば、1-3月期のEPSに関して、52社が悪化もしくは市場見通しを下回ると予測し、22社が改善もしくは市場見通しを上回るとの見方を示しており、昨年10-12月期(それぞれ43社、26社)と比較するとネガティブサプライズが生じやすくなりそうだ。企業業績の堅調さが株価を下支えする構図が保たれるとみているが、想定通りの利益成長が実現できるか注視したい。