加中銀の金融引き締めは漸進的に
2022-02-18
■ 1月の消費者物価指数上昇率は前年比5.1%へ加速、中銀目標を10カ月連続で超える
■ 1月の雇用統計は就業者数減少、失業率上昇と回復に歯止めの兆し、抗議デモの影響も見極め
16日、カナダ(加)統計局が発表した、1月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比5.1%へ加速した。食料品、住宅・宿泊関連などの価格上昇を主因に、1991年9月以来の高い伸びを記録し中銀目標(1-3%)を10カ月連続で上回った。レーン加中銀(BOC)副総裁は「どのような状況であれ、金融政策のツールを使って機敏に、必要であれば強力に対処していく」と述べ、インフレの上振れリスクにさらに焦点を当てていく姿勢を示した。中銀は年後半にはインフレが急低下すると予測しているが、複数回の利上げを見込むべきだと繰り返した。市場では、BOCが3月2日の会合で政策金利を0.25%から0.50%へ引き上げるほか、年内に少なくとも5回の利上げを織り込む。
一方、1月の加就業者数は前月比20万人減少と正規・非正規、業種を問わず広範囲にわたり、失業率は6.5%へ上昇、平均時給(正社員)は前年比2.4%増へ伸びが鈍化した。新型コロナウイルスオミクロン株の感染拡大に伴う規制強化が雇用悪化を招いた。こうしたなか、1月末から続いたトラック運転手らによるワクチンの接種義務化や政府のコロナ対策に対する抗議デモは、加米国境の橋を大型トラックなどで遮断する事態にまで及んだ。今回の国境閉鎖による物流の停滞で、工場の操業停止などに追い込まれた自動車業界の損失は2週間で2億9990万ドルとの米大手コンサルティング会社の試算もある。BOCの金融引き締めは喫緊の課題だが、雇用悪化が一時的であるかどうか見極めるべく、政策金利の引き上げは漸進的に行われよう。