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ポンドの上振れ感

2022-02-15

■ 2021年の英国実質GDP成長率は主要7カ国で最大の伸びを記録したが、今後は鈍化へ

■ 英中銀は金融引き締めに舵を切ったが、急激な利上げは成長の下振れを通じポンド安に


   英国立統計局が11日に発表した昨年12月の実質GDPは前月比0.2%減と5カ月ぶりのマイナス成長となった。新型コロナウイルスオミクロン株の感染拡大が影響したが、同10-12月期では前期比1.0%増と7-9月期並みの成長を維持。2021年通年の実質GDP成長率は前年比7.5%と1941年以来最大で、GDPの60%を占める個人消費が同6.1%と増加に転じ、主要7か国のなかで最も高い伸びとなった。新型コロナウイルス新規感染者数は昨年12月中旬から急増したが、1月初旬をピークに減少傾向をたどっている。今後は、政府による行動規制が緩和されるなどして経済活動の正常化が期待される。ただ、すでに雇用維持スキームなど景気支援策は2021年に終了しており、財政支援は先細りする見通し。2022年1-3月期以降の実質GDP成長率は前期比1.0%を下回る伸びに鈍化、2022年通年では4.5%に減速すると市場は見込む。

   一方、英中銀(BOE)は3月と5月の金融政策委員会(MPC)で計75bpの追加利上げに踏み切るとの観測が高まっている。天然ガス価格が高騰するなか、財・サービスで広範囲に価格が上昇。2月3日のMPCでは25bpの利上げが決定したが、9人の政策委員のうち4人が50bpの引き上げを主張した。市場予想では、16日公表の1月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比5.4%と1992年3月以来の水準に高止まりする見通し。ピルMPCチーフエコノミストは大幅な引き締めへの傾倒に異を唱えているが、一時ポンドドルは1.36ドル台、ポンド円は158円台を回復する場面もあった。金利先高観を先食いしたポンドの上昇が続くのかどうか、ポンドドルは200日移動平均線1.3701ドル、ポンド円は2月10日高値158円07銭を上値メドにポンド高が一巡するとみている。
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