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米HY社債:再び変調、株価調整に警戒を

2022-02-11

■ 米国株と米HY社債指数の値動きに再び乖離がみられ

■ 米HY社債指数価格が100を下回り、株価調整に警戒を


   S&P500株価指数は1月3日から27日までに約10%下落したが、そこから2月2日にかけて約6%反発し、小康状態を取り戻した。米金融引き締めの動きを織り込みつつ、引き締め加速への過度な警戒感が緩和したほか、主要企業の昨年10-12月期の決算発表が全体としては良好な内容と評価されたことが背景にあると思われる。一方で、米社債指数は今年に入り下落基調が続いており、投資適格社債指数(Bloomberg US Corporate Bond Index)の年初来下落率は約5%となっている(2月9日時点)。一般的に、投資適格社債指数は代替資産と認識されやすい米国債の利回り上昇(価格の下落)につれて動きやすく、年初来下落率の相対的な大きさは米国債利回りの上昇に起因すると思われる。

    ハイイールド社債指数(Bloomberg US Corporate High Yield Bond Index)の動きは株式市場の先行きを見通すうえで気がかりである。ハイイールド社債指数の年初来下落率は約3%と相対的に小さいものの、株価が小康状態に転じても、下落基調が継続している。平時はハイイールド社債指数と株価との相関は高いが、両者の値動きが乖離する局面は株価変調の兆しとして警戒される。また、同指数価格が99.83に低下しており、100を下回ると株価の調整が深まるリスクが高まる。昨年11月終わりに同様の指摘をしたが、その後は投資環境が好転して杞憂に終わった。ただ、金融市場の環境変化をいち早く察知するハイイールド社債指数が再び変調の兆しを示しており、当時より状況は悪化している。株価調整への警戒姿勢を強める必要があると考える。
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