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豪企業マインドには明るさも

2022-02-09

■ 1月の企業信頼感指数は大幅に上昇、コロナ感染拡大がピークを迎え、先行きへの期待を反映

■ 豪政府は国境再開を発表、観光業界の回復や雇用拡大への期待につながるかどうか


   本日公表の1月のNAB豪企業景況感指数はプラス3と前月から5ポイント低下し、2020年8月(マイナス4)以来の低水準を記録した。項目別指数では、収益性がプラス2、売上高がプラス7、とそれぞれ前月から8ポイント、7ポイントと大幅に低下したほか、雇用はマイナス1(前月はプラス2)へ悪化し、新型コロナウイルスオミクロン株感染拡大の影響がうかがえた。業種別では、小売業が前月比38ポイント低下、輸送業が同30ポイント低下と目立つ。一方、向こう3カ月間の期待を示す同信頼感指数はプラス3と、幅広い業種が大幅に切り返して前月(マイナス12)から大幅に上昇。調査は1月19日から31日に実施されたが、豪州内の新規感染者数は1月半ばをピークに減少しており、オミクロン株の感染拡大が収束に向かうとの期待や都市封鎖が回避されたことが映し出された。400を超える企業の足元のマインドは、2020年の最悪期(4月景況感指数:マイナス36、3月信頼感指数:マイナス66)ほど悪化せず、改善の兆しもみられる。

   豪政府は7日、ワクチン接種2回完了者を対象に21日から国境を再開すると発表。国境封鎖から2年が経過したが、豪観光研究所によれば、新型コロナウイルスによるパンデミック以降の観光業界の損失(海外・国内向け)は1017億豪ドル(2020年名目GDP比約5%)の大打撃となった。今回の国境解除によって観光業の復興など期待が寄せられるほか、豪当局は中国人旅行客の減少が日韓や欧米からの観光客の受け入れで相殺されるとみている。豪貿易促進庁によれば、コロナ禍前の全就業者のうち13人に1人が観光業界で職についており、観光業界の回復は雇用拡大にもつながりそうだ。なお、9日に2月の消費者信頼感指数、17日には1月の雇用統計が公表される。消費マインドも改善し、労働市場が完全雇用に近づけば、豪中銀(RBA)は金融引き締めに向けてさらに歩みを進めることになろう。
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