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米国株:決算発表の中間評価

2022-02-02

■ 一部で懸念材料が浮上したものの、全体としては堅調な決算発表と中間評価

■ 金融引き締め姿勢強化への警戒感がくすぶるなか、良好な決算が株価を下支えか


米国で主要企業の昨年10-12月期決算発表が山場を迎えている。情報会社リフィニティブの集計によれば、1月31日までにS&P500構成企業のうち172社が決算発表を終え、このうち78%の企業の一株当たり利益(EPS)が事前予想を上回った。また、同期のEPSは前年比25.3%増加すると見込まれ、1月初め(同22.3%増)から小幅に上方修正されている。供給制約、および人件費や資源価格の高騰などによるコスト増が一部企業の業績を圧迫していることが確認されたほか、新型コロナ感染拡大に伴う行動制限が追い風となってきた動画配信大手が先行き不透明感を表明したことで急落するなど、懸念材料が浮上したことは確かだが、全体としてみればここまでは堅調な決算発表と中間評価できる。

ハイテク企業の指数構成比率が高いナスダック総合指数は27日までに年初来14.7%下落したが、31日には同9.0%下落まで下げ幅を縮小している。セクター別に事前予想を上回るEPSを公表した企業の割合を確認すると、コミュニケーションサービス(100%)と情報技術(93%)が上位を占めており、決算内容を手掛かりに株式を買い戻す動きが進んでいると整理できる。週内に103社、来週も76社が決算発表を予定しており、市場予想を上回る内容となれば、株価は下支えされよう。なお市場では、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め姿勢の強化を織り込む動きが一巡しつつあるが、この先しばらくはFRB要人に講演など現時点で予定されている発言機会は見当たらないことから、株式市場では米金融引き締め姿勢強化への警戒感がくすぶると思われる。
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