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米国株:不安の連鎖を断ち切れるか、重要な局面

2022-01-27

■ 金融引き締めの積極化が景気腰折れリスクを高めるとの警戒感が強まる

■ 明日早朝のFOMCに加え、米経済指標と決算発表にも注視すべき


米国株式市場が年初から荒れ模様となっている。S&P500株価指数は今年の取引開始日に当たる3日に過去最高値を更新したあと、昨日までに9.2%下落。ナスダック総合指数は同期間に14.5%下落と、ハイテク株、成長株への売り圧力が相対的に強い状況にある。背景には以下のような不安の連鎖があると考えられる。きっかけは、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に向けて金融引き締めに踏み切る姿勢を示したことである。これにより金利先高観が強まり、相対的に割高に評価されてきたこれらの株式に売りがかさんだ。その後、26日に結果が公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、FOMC参加者が金融政策に関わる対外発信を禁じられるブラックアウト期間に入り、市場では利上げや保有資産縮小の開始時期やペースを巡り、金融引き締めがより積極的になるとの思惑が強まり、米景気が腰折れするとの警戒感が広がった。米ISM製造業景況感指数は昨年3月に直近ピークを付けたあとも高水準を維持しているものの、景気が循環的な下降局面に差し掛かると懸念されるタイミングに金融引き締めが始まる間の悪さが相まって、株価の下げ幅を拡大させていると整理できる。
こうした不安の連鎖が断ち切れるか、以下の3つのポイントを見極める必要があるだろう。1つめは、米経済指標である。今年に入り米国では、実績が事前予想を下回る経済指標が増えており、景気回復の勢いが弱まるとの懸念が強まりやすくなっている。新型コロナウイルスオミクロン株感染拡大による一時的な下押しによるものかを見極めるうえでも、今後発表される米経済指標の結果には注目したい。2つめは、米金融引き締めの行方である。FRBはインフレ抑制と景気腰折れ回避に向けて、市場との難しい対話をこなす必要がある。ブラックアウト期間前までは、今年4回の利上げと年後半の保有資産縮小着手が市場の中心的な見方になっていたと思われるが、足元ではより積極的な金融引き締めが警戒されている。明日のFOMCでブラックアウト前の市場期待に近いメッセージが発せられれば、過度な金融引き締めへの懸念が和らぎ、株価底入れの手掛かりとなる可能性がある。3つめは、米主要企業の決算発表である。昨日までにS&P500構成企業のうち79社が昨年10-12月期決算発表を終え、81%の企業が市場予想を上回る一株当たり利益(EPS)を公表している。今年に入り進行している株安は、金融引き締めへの警戒感を背景とした株価水準の調整と認識しており、株高見通しを維持できるか見極めるうえで、企業業績の堅調推移という前提を確認できるかが重要となる。結果が概ね出揃う2月第二週までは主要企業の決算内容を慎重に見極めたい。

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