2022年1月5週目(24日~28日)の相場展望
2022-01-24
ここのところ米国の経済統計が物価指数を除いて予想を下回る結果が増えだした。小売売上高や鉱工業生産だけでなく、ミシガン大学消費者態度指数などの景況感指数も予想を下回ることが増えており、米国内の景気がピークアウトした可能性も出てきている。先週もニューヨーク連銀製造業指数が悪化し、フィラデルフィア連銀製造業指数は好結果であるものの、中古住宅販売が予想のマイナス0.4%から結果マイナス5%と大きく落ち込んだ。FRBが早ければ今年3月の利上げと更なる利上げに言及しているところで、景況感の悪化というタイミングとなれば株価の下振れは理に叶っている。米国のS&P株価指数とナスダック指数は、先週一週間で大きく下げて約6~7%下落となり、コロナ暴落である2020年3月以来の大きな下げとなった。原油は先週高値87ドル後半まで上げ、消費者や企業への負担が増加することなどでインフレ圧力が更に進んでくることでスタグフレーションの懸念が出てもおかしくはなさそうだ。
欧州ECBは昨年後半から、インフレは一時的という方向性となっていたが、今年に入ってからはインフレに対して目配せをし始めたような感じはしていたが、直近の高官コメントからは、ラガルド総裁からは、「インフレ押し上げ要因は今年の間に緩和すると予想」「ユーロ圏のインフレ率は年内に過去最高水準から低下するとしたうえで、ECBはインフレ率を2%目標まで低下させるために必要なあらゆる措置を講じる用意がある」「ECBにはFRBほど迅速に行動しない理由がある」、「データ次第でECBはインフレに対処する用意」というコメントが先週出ている。また他の委員達もインフレ率2%を達成するためにあらゆる行動を取ると発言しており、高インフレに対して警笛を鳴らす委員もいるが稀であり、全般にFRBの考えとは反対に近い意見が多く出ている。どうもECBのテーパリング開始は米国FRBのそれには予想以上に大きく遅れる可能性が出てきた。その理由がオミクロン株中心となった新型コロナウイルスからの経済への悪影響への考察の差なのであろうか。双方共に新規感染者拡大は止まっておらず、物流も同じように滞っている。互いが別の方向に歩むことは、世界経済のリスクの観点からみれば、リスクを補える可能性もあるので良いのかもしれない。双方同じ方向に動き、間違っていると大変な事となろうから。
ここのところの米国株の下落は長期金利の上昇が大きく影響しており、年末に1.6%台で推移していた10年債金利はじりじりと上昇し、一時1.9%まで上昇し、1.8%の高い水準で推移していることが大きい。米国株の平均利回りが1.6%台であるから、株を売って債券に投資する投資家も増えてきているようだ。またリスクオフによって年末辺りから金価格もじり高傾向となっている。昨年の安値水準である1676付近で3度も止められて下値の堅さの強さを証明している。その後1900ドルまで上昇したが落とされ、その間でのもみ合い地合いが継続中だ。昨年の5月からの三角持ち合いは依然機能中で、今回は上昇し接触回数は4回目に向かっている。5回ではなく4回目でブレイクすることもあるので、上放れすると一時的に1900ドル程度までの跳ね上がりがあるかもしれない。週末、ロシアがウクライナに対し、大規模な軍事行動を計画しているとの報告があることでリスクオフの要因が重なり、上値抵抗線が1858ドル付近まで下がっていることもあり、その実現や株価の下への突っ込みなどあれば抵抗線を上に抜ける展開となろう。米国株、特に高値から10%以上下落となったナスダック指数は調整局面が訪れていることで、もし短期反発があっても上値が重くなる公算で金相場への資金流入は続くと思われる。
欧州ECBは昨年後半から、インフレは一時的という方向性となっていたが、今年に入ってからはインフレに対して目配せをし始めたような感じはしていたが、直近の高官コメントからは、ラガルド総裁からは、「インフレ押し上げ要因は今年の間に緩和すると予想」「ユーロ圏のインフレ率は年内に過去最高水準から低下するとしたうえで、ECBはインフレ率を2%目標まで低下させるために必要なあらゆる措置を講じる用意がある」「ECBにはFRBほど迅速に行動しない理由がある」、「データ次第でECBはインフレに対処する用意」というコメントが先週出ている。また他の委員達もインフレ率2%を達成するためにあらゆる行動を取ると発言しており、高インフレに対して警笛を鳴らす委員もいるが稀であり、全般にFRBの考えとは反対に近い意見が多く出ている。どうもECBのテーパリング開始は米国FRBのそれには予想以上に大きく遅れる可能性が出てきた。その理由がオミクロン株中心となった新型コロナウイルスからの経済への悪影響への考察の差なのであろうか。双方共に新規感染者拡大は止まっておらず、物流も同じように滞っている。互いが別の方向に歩むことは、世界経済のリスクの観点からみれば、リスクを補える可能性もあるので良いのかもしれない。双方同じ方向に動き、間違っていると大変な事となろうから。
ここのところの米国株の下落は長期金利の上昇が大きく影響しており、年末に1.6%台で推移していた10年債金利はじりじりと上昇し、一時1.9%まで上昇し、1.8%の高い水準で推移していることが大きい。米国株の平均利回りが1.6%台であるから、株を売って債券に投資する投資家も増えてきているようだ。またリスクオフによって年末辺りから金価格もじり高傾向となっている。昨年の安値水準である1676付近で3度も止められて下値の堅さの強さを証明している。その後1900ドルまで上昇したが落とされ、その間でのもみ合い地合いが継続中だ。昨年の5月からの三角持ち合いは依然機能中で、今回は上昇し接触回数は4回目に向かっている。5回ではなく4回目でブレイクすることもあるので、上放れすると一時的に1900ドル程度までの跳ね上がりがあるかもしれない。週末、ロシアがウクライナに対し、大規模な軍事行動を計画しているとの報告があることでリスクオフの要因が重なり、上値抵抗線が1858ドル付近まで下がっていることもあり、その実現や株価の下への突っ込みなどあれば抵抗線を上に抜ける展開となろう。米国株、特に高値から10%以上下落となったナスダック指数は調整局面が訪れていることで、もし短期反発があっても上値が重くなる公算で金相場への資金流入は続くと思われる。
金価格(XAUUSD)日足チャート


トランプ大統領からバイデン大統領へ変わってから上昇一途の原油相場も、背景には需給関係もあるだろうが、超金融緩和状態が長く継続した故の動きも加味されている。しかしながらほぼ0ドルまで下がった価格が2年ほどでここまで上昇するとは、ギャグでも誰も予想をしていなかった。直近の高値更新で87.63ドルまで上昇し、ロシアウクライナ情勢や生産活動の低迷もあって上昇に歯止めが掛からない状態となっている。下がる時も酷かったが、上昇スピードも速い。世界はパリ協定などにより脱炭素化に邁進しており、昨年には世界一の産油国であるサウジアラビアもその方向へ動き出した。それらの共同認識によって原油生産を大きく増やすことが難しくなっており、増産があるとしても制限を課しているため価格が下がりにくくなっているのが現状だ。また第二の産油国といわれる米国もバイデン大統領自身がサンドオイル生産を大きく制限しているため生産を増やさず、コロナからの立ち上がりで世界的な供給不足を解消する目的で、昨年末には石油備蓄を放出しているほどである。原油の代替燃料としてCO2排出が少ないとされる天然ガスも価格が急上昇している。国際エネルギー機関 (IEA) の1月月報によると、2021年の世界の石油需要推定は日量9,640万バレルで前回予想から同20万バレルの上方修正、2022年の需要予測も日量9,970万バレルと前回から同20万バレルの上方修正です。一方、OPEC 原油を除く2021年の世界の石油供給量推定は日量6,570万バレルで前回予想と変わらず、2022年の供給予測は日量7,190万バレルで前回から同20万バレルの下方修正となっています。中長期では原油価格は底堅く、短期では米国利上げとウクライナ情勢がカギとなってくるでしょう。
テクニカルからは、チャート上で上昇トレンドラインから数ドル程度下抜けするまでは堅調推移が続く予想。今のところ、先週安値の83.30付近を下回ると調整度合いが強まりそう。今月中の上昇ターゲットとは節目の90ドルである。変動率の大きさを可視化しているATRチャネルからは、赤の±3のバンドが近いために上値抵抗となっている。上に抜けるとしてもスローになりやすく、上げ下げを繰り返しながらの上昇となろう。材料が出たときの下押しがあるとすれば、やや速い動きを予想している。
テクニカルからは、チャート上で上昇トレンドラインから数ドル程度下抜けするまでは堅調推移が続く予想。今のところ、先週安値の83.30付近を下回ると調整度合いが強まりそう。今月中の上昇ターゲットとは節目の90ドルである。変動率の大きさを可視化しているATRチャネルからは、赤の±3のバンドが近いために上値抵抗となっている。上に抜けるとしてもスローになりやすく、上げ下げを繰り返しながらの上昇となろう。材料が出たときの下押しがあるとすれば、やや速い動きを予想している。
原油(XTIUSD)日足チャート

来週はFOMCが開催される。1月27日(木)の夜中に発表後、パウエルFRB総裁の定例記者会見と続く。今回の利上げ予想はほぼないが、3月の今年最初の利上げ予想がコンセンサスとなっており、1月24日現在で、0.25%の利上げが約85%、0.5%の利上げ幅が5%程度となっていて、据置予想も8%程度はいる。過度に報道されている大幅利上げのサプライズの現実味は今のところ少ないようだ。ただパウエルFRB総裁のコメントによって相場が振らされる可能性が大きく、年内の利上げ幅やインフレへの内容が急変動に繋がることがあると考えられるので注意が必要だ。それ以外に重要なものとしては、欧米のPMI速報値、米国GDPや個人所得の発表が予定されている。