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FRB:物価安定のための金融引き締めへ

2022-01-14

■ 3月利上げ開始の可能性が高まったと考えられる。

■ 保有資産縮小は6月に決定との見方が強まりそうだ。


   11日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の再任指名公聴会が米上院銀行委員会で開催された。議長は物価水準が最大雇用に対する大きな脅威になっていると指摘し、米経済は極めて緩和的な政策をもはや必要としていないとの見解を示した。物価安定のために金融引き締めを行う姿勢が明確に示されたと言えよう。また、金融政策を巡り、以下の2つの示唆が示された。ひとつは利上げ開始時期である。議長は資産買い入れの段階的縮小(テーパリング)を3月に終了し、開始時期については言及を避けたものの、年内に利上げを開始するとした。金融市場では3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されるとの見方を織り込みつつあるが、議長はこうした市場の見方を牽制しなかった。今年に入って複数のFRB地区連銀総裁が3月利上げを支持していることも踏まえれば、その可能性が高まりつつあると考えられる。

   もうひとつは保有資産縮小の開始時期とペースである。昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で議論を開始した保有資産縮小に関しては2-4回のFOMCをかけて決定するとしており、今年に入ってからのFOMCを数えれば3月、5月、6月のいずれかとなる。おそらく今年後半には着手するとの議長の発言も併せて考えると、6月の決定が有力視されよう。前回の保有資産縮小は利上げ開始(2015年12月)から約2年経過した2017年10月に開始された。また、月額100億ドルで縮小を開始し、以降3カ月ごとに100億ドルずつ縮小ペースを加速、1年後に500億ドルに達したところで縮小ペースを維持した。議長は今回の米経済の状況が前回と比べてはるかに堅調な状況にあるとしたほか、FRBの保有資産が必要とする規模を大きく上回っていると評価しており、保有資産縮小を前回より早く開始し、速いペースで実施するだろうと説明した。議長が今後のFOMCで提供するとした保有資産縮小に関するガイダンスが注目される。
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