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リラ相場は小康状態を保つが

2022-01-12

■ トルコ中銀の利下げは、インフレ高進で実質金利のマイナス度合いを深め、リラ安を助長

■ 1月20日の次回会合では、政策金利が据え置かれる公算だが、リラの一段安は不可避か


   トルコでは昨年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年比36.08%へ加速、2002年9月以来の高水準を記録した。世界的なエネルギー価格上昇を受けた輸送費や需要増を反映した食品・飲料がCPIを押し上げた。生産者物価指数(PPI)も同79.89%上昇とリラ下落を背景に輸入物価が押し上げられており、CPIの伸びはさらに加速する公算が大きい。物価高騰は、トルコ中銀(TCMB)が政策金利を昨年9月以降4会合連続で19%から14%へ大幅に引き下げたことに起因しているが、一段の利下げは実質金利のマイナス度合いを深め、リラ安をさらに助長する。

   2022年に入り、対ドルは12リラ台半ばから14リラちょうど近く、対円は8.13円台前半から9円ちょうど付近で小康状態を保っている。ただ、TCMBはリラ安を阻止するため、昨年12月に外為市場で5回の直接介入を実施したと発表。同30日に公表された純外貨準備は86億3000万ドルと2002年以来の低水準を記録した(同12月24日時点)。TCMBは1月20日の会合では政策金利を据え置き、既往の利下げ効果を見極めると市場は見込むが、実質金利はマイナス圏にとどまる。一方、米連邦公開市場委員会(FRB)は金融引き締めに傾倒し、3月に政策金利を引き上げ、利上げ回数は3回から4回に増やし、2022年中に保有資産を縮小するとの見方も浮上。新興国からの資金流出が加速すれば、リラの一段安は避けられないだろう。
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