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米国株:決算発表にも注目を

2022-01-10

■ 米国株投資家の関心は金融引き締めペースに集中

■ 来週以降は主要企業の決算発表にも注目。下振れを警戒したい。


   5日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(昨年12月14、15日開催分)では、資産購入の段階的縮小(テーパリング)の終了が見込まれる3月にも利上げに動く可能性が示されたほか、早期に保有資産縮小に着手する構えもみせた。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めへの思惑が強まり、昨年末に1.51%付近であった米10年国債利回りは今年に入り急ピッチで上昇してきており、一時1.75%台に到達した。米国株式市場でも、収益の伸びの高さへの期待から割高感が正当化されてきたハイテク株や中小型株などに売りがかさんでいるほか、金利上昇が収益改善期待につながる銀行株が堅調に推移するなど、セクターローテーションが進んでいる。来週は11日(火)にパウエルFRB議長が、13日(木)にブレイナードFRB理事が、それぞれ議長、副議長への指名承認公聴会に臨むほか、FOMCメンバーの発言機会が多く、金融引き締めペースの手掛かりを得ようと市場の関心が高まると思われる。

   こうしたなか、来週以降は主要企業の決算発表にも注目しておく必要があろう。14日(金)の米金融大手を皮切りに、米主要企業の昨年10-12月期決算発表が本格化する。情報会社リフィニティブの集計(昨年12月31日時点)によれば、S&P500株価指数構成企業の一株当たり利益(EPS)は前年比22.3%増と、7-9月期(同42.6%増)から鈍化するものの堅調な伸びが見込まれている。ただ、一部企業のプレアナウンスメントによれば、昨年10-12月期のEPSに関して、57社が悪化もしくは市場見通しを下回ると予測し、33社が改善もしくは市場見通しを上回るとの見方を示しており、7-9月期(それぞれ45社、59社)と比較するとネガティブサプライズが生じやすくなりそうだ。企業業績の堅調さが株価を下支えする構図が保たれるとみているが、想定通りの利益成長が実現できるか注視したい。
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