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2022年のドル相場に向けて

2022-01-05

■ 米国議会の中間選挙にあたる2022年はバイデン政権の通貨政策に注目

■ 民主党政権下で、歴代の財務長官はドル高を提唱したが、イエレン財務長官は言及を避けた


    2022年のドル円を占ううえで、11月8日に実施される米国議会の中間選挙は注目点の一つとなる。4年に一度の大統領選挙を2年後に控えて、下院の全435議席と上院の3分の1にあたる34議席が改選される。一般的に民主党は、「大きな政府」を目指し、経済・社会福祉政策などに対し積極的に対応するとされている。その結果、国内の経済格差は小さくなるが、国際競争力が低下するとの指摘もある。
    民主党政権下では、1993年から2001年のクリントン政権に、ルービン元財務長官が「強いドル政策」を提唱。巨額の経常赤字を海外からの資金流入で埋め合わせるためか、基軸通貨としてのドル信認を維持した。2009年から2017年のオバマ政権では、輸出促進につながるドル安を黙認する一方、ガイトナー元財務長官は「強いドルは国益」との見解を示した。バイデン政権では、イエレン現財務長官が2021年1月の指名承認公聴会で所信表明し、「通貨価値は市場で決まるべきだ」としてドル高やドル安に対する直接的な言及を避けた。
    2024年の大統領選挙に向けて、バイデン政権が内政・外交を活発に展開していくなかで、ドル高を是正するのではないかと警戒する市場参加者は少なくない。本中間選挙は、バイデン大統領と与党民主党に対する有権者の信任投票となるが、下院で5議席、上院で1議席を失うと多数党ではなくなる。同大統領の支持率は30%台後半で低迷しており、2022年は政局が及ぼす通貨政策やドル相場への影響も注目される。
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