日本マクロ経済見通し
2022-01-04
■ 経済活動再開を受けて非製造業の景況感が改善
■ 交易条件が悪化し、消費者物価にも徐々に上昇圧力が強まる
日本では、経済活動再開に伴い、10月以降、景気が大きく持ち直している。日銀短観12月調査では、業況判断DIは大企業・製造業(プラス18、前回比変わらず)は9月調査と同水準だったものの、大企業・非製造業(プラス9、同7ポイント上昇)では大幅に上昇し、経済活動制限の全面解除を受けて、対面サービス業種を中心に景況感が改善した。ただし、先行きは大企業・製造業(プラス13、現況比5ポイント低下)、大企業・非製造業(プラス8、同1ポイント低下)ともに低下し、景気回復の持続性については不透明感が残された。
11月の輸出額(7兆3850億円、同5.3%増)は過去最高額を更新。製造業では自動車などで部材不足の影響が和らぎ、復調の兆しがみられる。ただ、新型コロナウイルスオミクロン株感染が世界的に拡大しており、今後の感染状況次第では、工場稼働や部材調達など、製造業での供給問題が再び浮上し得る点は引き続き懸念される。
同時に、燃料価格高騰などの影響により、11月の輸入額(7兆8718億円、同5.9%増)は輸出を上回るペースで急増している。この結果、貿易収支(季節調整値、4868億円赤字)は7カ月連続の赤字となり、輸出が増加するなかでも貿易赤字が定着している。また、11月の全国消費者物価指数(生鮮食品除くコアCPI、前年比0.5%上昇)は2020年3月以来の上昇率となった。
諸外国とは異なり2%のインフレ目標を大幅に下回っているが、携帯電話通信料が前年比ベースで1.5%程度押し下げているため、この効果が剥落する2022年4月以降、上昇率が大きく押し上げられることが想定される。黒田日銀総裁もこれらを念頭に、コアCPI上昇率が来年2%に近づく可能性があることに言及した。11月の企業物価指数(同9.0%上昇)は1980年以来の高い伸びを記録しており、交易条件の悪化も含めて、日本でも着実にインフレが広がりつつあることが確認される。